あかんたれブルース

継続はチカラかな

ラブストーリーでワシヅカミ



黒澤明の最後の作品は
ラブストーリーだった。とは知らなかった。

海は見ていた

清水美砂がすきで、以前から気にはなっていたんです。
でも、製作が2002年で、この頃から映画観なくなった。
たぶん、息子の誕生やらその成長で
観るにしても
子供向け、家族向けのドラえもんとか怪獣映画とか
ジブリ作品とかしか観なくなってしまったんでしょうね。

脚本が黒澤で監督は熊井啓
原作は黒澤映画ではおなじみの山本周五郎
この作家にはよく泣かされましたが
この映画も、泣ける。



江戸は深川、岡場所の遊女の物語


せつなく、健気で、温かい。
石橋蓮司のご隠居が良いです。
遠野凪子清水美砂も良い。


もう十年も前の作品で恐縮なのですが
みんなどんな感想かとネットをのぞいてみたら
これが、あんた酷評で(汗)

自分の感性を疑いたくなってしまった。
ま、それはないな。わたしゃ自分を信じてますから
みんながいうような問題じゃあないと思うけどなあ・・・

機会があったら観てください。
馬太郎一押し印です。今年最高の88点かな。下駄なしで




  菊乃とご隠居の会話より


また惚れちゃったんですよ。

あの男にかい

お新ちゃん、
不幸せな人には自分だって不幸せなのに
気の毒がって、すぐ親身になって

いい心がけだけどね
そいつはいけないね。
不幸と不幸がくっついたって
もっと不幸せになるだけだ。


  ところがさ

  嵐で逃げ遅れたお新と菊乃
  そこに良介が助けにきたよおおおおおw


お新、いまいくぞ!

良さん!

お新、姐さん、いまいくぞ!

お新ちゃんお前さあ今度こそ立派な男釣り上げたねえ


  だけど小船に三人はのれません。
  菊乃は自分を置いて、はやく行けという。
  岸辺にお新を置いたらすぐに引返すという良介に
  毅然と、菊乃は言う。
 

それより、あんた
よくお聞き
お前さんはもう大丈夫だよ。
なあんにも心配することない。
なにもかも海が呑み込んで隠してくれた。
なんだかお前さんたちのこと
海が見ていて助けてくれた。


『海が見ていた』



ご隠居がいうよう不幸せの法則には一理ある。
でもね、最初それを聞いてそれは心掛け次第だと思った。
たとえば、
不幸せを(-1)として
-1と-1をたせば-2で不幸は増える。
数学的にどう弄ってもこうなっちゃうけどさ
そういったものは個人的な思いであって比較にある。
相手が自分よりも不幸せだって思うことも
自分との比較であって思い込みだわね。
そういうところに、ご隠居のいう
「良い心掛け」があると思う。
これがさ、わたしの考える「己を空しくする」ことだって思う。

世の中とか人生ってものはつらいものなので
自分のことばっかり考えていると、しんどいものです。
だから、自分をほおっておける存在が必要なんだ。

その意味で、お新は幸せなんだな。
すぐ惚れてしまう、
はじめっからお新は幸せに近い女性だったんだよ。

ご隠居のいうことは半分はあたっていたけれど
ほら、不幸せと不幸せがくっついて
よりそって慈しみお互いを気遣って愛し合って
幸せそうじゃあないですか

え、一時的なものだって?

そりゃあ、そっこらさきはそれぞれの話で
二人の間のことです。
他人がとやかくいうことじゃあない。
それよりも、その一瞬、そのときが大事なんじゃないでしょうか。


ということで。わたしゃこれから
菊乃ねえさんを救出にいってきます!

あれはいい女だ、惚れ惚れするよ。