♪ 海が割れるのよ 道ができるのよ
昨年大晦日は例年になく、しみじみと「紅白」に聴き入っておりました。
曲は天童よしみの「珍島物語〜絆〜」
しみじみと黄昏に舞い出す蝙蝠のように私の記憶はカミングアウト。
もう十数年以上前の話です。
営団地下鉄(現在の東京メトロ)銀座線外苑前の駅から徒歩2分
居酒屋「やる気茶屋」はその日も大盛況の大賑わい。
その喧噪をカウンター席でかわしていました。
さきほど席を立った妻がなかなか帰ってきません。うんこかな?
二本目の煙草に火を着けたとき、そのとき。
いったいどういうわけか、左手の奥から
まるで荒天の海に油をしいたような鎮まりの波がおしよせてきた。
私が眼差しをその先に向けると、妻がいた。
彼女のジーンズのお尻から白いいバージンロードが、いや、あれはトイレットペーパーだ。
それは奥の女性用トイレまで繋がっている。ははあ、さてはパンツに引っかけたな。
彼女が通り過ぎた後には見知らぬ客の凍りつく沈黙をもたらしている。
なに? なぜ? だれ? What ? Why ? Who ? 3つのWが彼らの会話を妨げる。
誰かなんとかしてくれ! 彼女に伝えてよ! ああ、満面の笑顔で僕をみないで(汗)。
そのとき、店員の梶川君(たぶん) が「殿中でござる」と駆け寄った。
長い裃はそこで途切れました。
少し残念な気もしましたが、気のせいですね。
想い出は人間を冷静にしてしまいます。
♪ 海が割れるのよ 道ができるのよ
私の妻はモーゼのようです。ただし福音は与えない。赤面のみ!