あかんたれブルース

継続はチカラかな

恋はうたかた、愛は陽炎。で、武士道は?

「いい加減」のお腹と背中(10)武士道再び




 武士道を語るに、日本人の生死観というものが重要なヒントになるようです。

 キリスト教は自殺を認めません。

 対して、日本人はそのニュアンスが少し違いますよね。

 「心中」という言葉を生みだしてしまう。

 この世で添い遂げられない二人の永遠の愛のパスポートでしょうか。

 
   忘れじの行く末までは 難ければ
   今日を限りの 命ともがな


 うたかたの恋 愛は陽炎

 水を差すようですが、東武鬼怒川温泉日光江戸村
 北町だったか南町だったかの奉行所コーナーがあります。
 牢屋や拷問などのロウ人形館ですよね(笑)。
 そこに心中に失敗した男女二人が縛られてお白洲で取調の図。

 判決は 男は「遠島島流し」 女は「遊女に売られる」

 現実は過酷だ。
 永遠の愛を誓った二人の男女のその後に想いを馳せる。

 さて、武士はどうだ。

 命を惜しむな、名を惜しめ。
 そして、「死ぬ」ことに究極の答え見いだした「葉隠」。

 殉死というものもあります。

 明治という時代が終わった日に、乃木希典という軍人は殉死しました。

 あれほど、明治天皇が「殉死」をかたく禁じたのに。
 しかも嫌がる妻を道連れにして。

 今でこそ、乃木を聖将とイメージされますが、
 当時、この乃木の行動の賛否に世論は真っ二つ割れました。
 それを軍が利用した。

 マー君は武士道なのか?

 武士道とは、そういうものなのか?

 確かに、バカじゃないんだから死ぬのは恐いよね。
 そして、人生は過酷で、時には死んでしまった方が楽に思えるときだって、ある。

 乃木は苦戦する旅順要塞攻略中に何度も死のうしました。
 
 また、任務完了後の彼の姿勢をパフォーマンスだ。とはいわない。
 私はマー君にむしろ同情するよ。

 けれども、本人が思いもしないところで、彼の在り方は利用され、
 日本の軍隊を「精神主義」に結びつけていきます。
 そして「戦陣訓」などを生み出していく。

   生死を貫くものは崇高なる戦闘奉公の精神なり

   生きて捕囚の辱めを受けず死して罪禍の汚名を残すなかれ


 ホントにこんなものを待望しているのか?

 それとも、もっと違うもの? では武士道とはどの時代の何をいうのか?

 乃木以前のそれか?

 それはどういうものか? 私にはちっとも分からない。