あかんたれブルース

継続はチカラかな

杉山の友だち

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杉山茂丸伝(3)



   彼には乾児(こぶん)らしい乾児は一人も居ない。

   乾児らしいものが近付いて来る者があっても、
   彼の懐から何か甘い汁を吸おうと思って接近して来る者が大部分で、
   彼の人格を敬慕すると云うよりも、彼の智恵と胆力を利用しようとする
   世間師の部類に属する者が多く、それ等の煮ても焼いても喰えない連中を
   巧みに使いこなして自分の仕事に利用する。

   そうして利用するだけ利用してもはや使い手がないとなると
   弊履のごとく棄ててかえりみないところに、
   彼の腕前のスゴサが常に発揮されて行くのである。

                   「ちくま日本文学全集 夢野久作
                   『杉山茂丸』433頁からの書き出しから(ママ引用)



 これが息子・夢野久作の父・茂丸に対する人間関係の批評です。

 しかし、少し言葉足らずと多少の誤りがある。

 杉山には多くの門下生が存在します。
 そのなかでも、星一は第一の弟子だったのではないでしょうか。
 星一は星製薬を一代で築いた事業家。
 あのショートショートSFで有名な作家の星新一の父親です。

 不思議ですね、杉山から夢野久作星一から星新一と二人の作家が生まれている。
 そして、星一は杉山の社是を色濃く引き継いだ人でした。
 

 また、杉山が目的のためなら人を道具や駒ように使い、棄てるという
 表現もすこし違うような気がします。

 というか、彼ほど「友情」というものを重んじた人はいない。
 まあ相手があってのことで、杉山と友情を交わした人たちは魅力在る人たちでした。
 明治という時代なのでしょうか。
 胸が熱くなります。

 杉山茂丸が何をしたか? という前に

 彼と友人たちの話からお伝えしたいと思います。