あかんたれブルース

継続はチカラかな

異色探偵作家の憂鬱と愛憎

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杉山茂丸伝(2)




 父親の存在って、息子にとって頭の痛いものです。

 越えなければならない壁。かな(汗)。まあ父親によりますけどね。

 しかし、杉山茂丸のような怪人魔人を父親に持った息子は

 どうなんでしょうかね。

 日本の探偵小説の三大奇書ドグラ・マグラ』を著者
 夢野久作は杉山の息子(長男)です。

 もっとも、こんな父親ですから
 全国各地に杉山の血を受け継いだ子息子女は五万といたことでしょね(汗)。

 杉山茂丸の死は昭和10年7月19日。

 それから8ヶ月。

 久作は父親の借金や隠し子だのなんだの後始末に追われます。
 そして、すべてが解決した日に、ワハハッと笑ってそのまま倒れた。

 脳溢血で死んでしまう。

 
 久作は父・茂丸に対してコンプレックスがあった。

 恋慕の情があり、愛憎がありました。

 彼の作品には『近世快人伝』など幾つかの作品に描かれています。

 手元にある「ちくま日本文学全集 夢野久作」を開くと、
 その最後に『杉山茂丸』という作品があます。

 少し、これをネタにして、杉山の人なりを考察していきたいと思います。



   杉山茂丸なる人物が現代の政界ドレくらいの勢力を持っているのか、

   筆者(夢野久作)は正直なところ、全然知らない。

   どんな経歴をもって、いかなる体験を潜りつつ、あの物すごい知力と、

   不屈不撓の意とを養い得て来たかと云うような事すら知らない。

   恐らく世間でも知っている人はあるまいと思われるので、

   筆者が知っているのは、そこに評価の不可能な彼・・・

   杉山茂丸の真面目がスタートしている事と、同時に、

   そうであるにもかかわらず、その古今の名探偵以上の智力、魅力とをもって、

   政界の狸面を縦横ムジンに駆けまわり、駆け悩まして行く、その怪活躍ぶりが今日まで、

   頭山満翁と同様に、新青年誌上に紹介されないのは嘘だと云う

   知っているのみである。


                                ￿「ちくま日本文学全集 夢野久作
                                『杉山茂丸』429頁からの書き出しから(ママ引用)




夢野久作
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A2%E9%87%8E%E4%B9%85%E4%BD%9C