あかんたれブルース

継続はチカラかな

馬上少年過ぐ

愛のブリブリ(5)


うんこが、(おいおいまたうんこかよ)
市民権を得た、その背景つまり
影響を与えた功労者に鳥山明
Dr.スランプ アラレちゃん』だとして
まず間違いない。
うんこがキャラクターになるほど
まあテレビゲーム「ドラゴンクエスト」シリーズで
ご承知の通り、同氏のキャラクターデザイン力には
定評があるわけですから、うんこだって可愛い
わけだ。
これが1980年。

さて、その十年前に
少年馬太郎に強烈な印象を与えた漫画があった。
山上たつひこの『光る風』という作品。
がきデカで有名なナンセンスギャグ漫画家
というイメージの山上たつおですが
この作品はギャグではない。

連載されていたのは少年マガジン
話のストーリーはまったく忘れた
というか小学生のガキには小難しくて
読み飛ばしていたと思う。
ただ、その場面、シチュエーションだけが
四十数年たった今でも悪夢のように
わたしの脳裏にまとわりついているのです。

どこぞの収容所から脱走をはかる二人の若者
汲み取り式の便所から身を沈め
そこから大きく息を吸って顔を沈めて
糞尿のなかを潜って出口まで泳いで向かう

床屋で散髪しながら読んでいた。
息を飲んで、巨人の星を読んでまた読み返し
デロリンマンを読んではまた読み返し
無用之介、あしたのジョー、を読んでも
それが気になって気になって
またページをもどしてしまう。

それが自分にできるか・・・

少年の問いかけは
その先にある自由というものの価値に
言及されていた
なんていうとおおげさですが
そこまでして、求めるものって・・・
10歳の少年はそこから哲学の世界に足を踏み出す。

強烈なカウンターパンチでした。
クロスカウンターを超えた
うんこカウンター

凄みのあるリアリティーだった。

もっとも水洗トイレしか知らない世代に
こういうリアリティーがどこまで通じるのか
疑問ではあります。

うんこは臭い。
自分のでもときに愛想が尽きることもあるのに
ましてや他人の糞尿は臭い。
きみは
不特定多数の糞尿がブレンドされ発酵された
公衆便所や汲み取り式の共同便所の臭いを
嗅いだことがあるか

そこに身を沈められるか潜れるか
素潜りして出口を探す勇気があるか
そこまでして自由を求められるか

それほど価値のある自由。
わたしたちはそれを軽んじてはいないだろうか

もっと真剣にうんこで考えろ
うんこぐらいで100年の恋が冷めるような恋など
恋ではない。
うんこ以下なのだ。
うんこに負けたのだ。
わかったか
だから
俺のことをうんこタレというのはやめてくれ
うんこは誰でもするものタレるもの
岡田準一だーって
山Pだーって
羽生結弦だってえ
みんなみんな生きているんだ
糞してるんだ~

なにいってるんだか自分でさっぱりわからん
糞して寝よ

馬上少年過ぐ
世平らかにして白髪多し
残躯天の許すところ
楽しまずんばこれいかん