あかんたれブルース

継続はチカラかな

あどけない二人

母と私の夏休み(5)


チントンテントシャン チントテントシャン
トトントトトト トン テン、ットーン
n. 洗濯はー君でー 見守るのーは 僕

懐かしの井上陽水『あどけない君の仕種』
いまだったら男女平等女性蔑視とどやされそうですが
こんな歌が許されたほのぼのした時代もありました。

母が思いのほか復調著しく
家事もソコソコ自分でやってます。
わたしはそれを見守っている。
まるで万引きGメンが不審な客をマークするように

料理はわたしがやります。
一日一食分が届けられる福祉給食との兼ね合いで
飽きないように明日に残さないように
と、これがなかなか難しいのだ。

食器は母が洗ってくれる。
洗濯物はわたしが取り込みます。
買い物はわたし
互いの役割分担がきまってる。

痴呆は暇が毒です。
周囲はよかれと思って手取り足取りですが
体が動くのなら役割を担わせ
達成感を与えてあげるのが
脳も体も活性化するようです。
むろん、感謝もね。
なにかしら互いに「ありがとう」という言葉を発してる。
それは不思議なオマジナイのようです。

必要とされている、そのことと
感謝され感謝する心

裁縫も母のたのしみです。
なにかしらツギをしたり修繕している。
そんなくたびれたの捨てて新しいのを着ればいいのに
と思うのですが
それができない、それがたのしい
世代なのでしょう。ね
針穴に糸を通す作業に母が悪戦苦闘している。
どれどれと通してやると
凄い凄いと尊敬される
そんなにたいしたことでもないのですが
なんか悪い気はしません。
遠い昔に、編物をする母がほどいた毛糸を
わたしの両手に巻いてグルグルしてた記憶が甦る。
ぴんと張った左右の手がそのうち疲れて弛むと
はい馬ちゃん頑張ってねと激励されてたものでした。
三十代前半の母
父は長期航海で留守で妹はまだ生まれていない。
小さな家で母と二人の生活

あれから五十年以上経って
母はすっかり年老いてしまった。

母と二人の同棲生活が静かにゆっくりと
やさしく流れている。
このままゆっくりとできるだけ
こうしていられたらいいのになあ


  シャツの色が水に溶けて 君はいつも安物買い


こらこら俺の下着に名前書くなよ
マジックで(>_<)