荒川を渡った街にある小さな剣友会の話です。
昭和40年代は剣道が大ブレークしたそうですが、今は野球を凌駕してサッカーが主流。
そんななかで、3年前にめずらしく四人の小学一年生が剣友会の門をたたきました。
彼らには後輩はまだいません。
上のお兄ちゃんお姉ちゃんは六年生が1人、五年生が3人だけです。
夏の練習はどんなスポーツでも厳しいですが、防具を着ける剣道は格別です。
三年生になった四人は夏休みに入っても頑張っていました。
火曜、木曜の六時半から八時までと日曜日の午前九時から十一時まで。
今日も暑くて臭い面を着けてしごかれていました。
その晩は荒川の花火大会でした。
毎年七月の最終木曜日に開催されます。
彼らはこの日、休まないかぎり花火大会を観ることはできないわけです。
練習を終えた四人は道場の近くの歩道橋か花火が観れるといって駆け出して行きました。
小学三年生はまだまだ子供ですね。
そこから駅と向かいのヨーカドーの間から花火はよく見えました。
歩道橋は通勤帰りの人たちも沢山見物しています。
小さくチグハグな音で綴られる最後の15分の花火大会を四人で観ました。
無言で花火を見つめる四人は誰からともなく、
それぞれの最初の出会いを語りはじめたそうです。
おばあちゃんと公園でアスレチックをしていたMA君とKちゃんとの出会い。
ヨーカドーのムシキングのゲーム機で出会ったU太とShyoの出会い。
それぞれ特別ドラマチックなものではありません。
そして、剣道を一緒にやれてよかったね。との意見の一致があり、
これからもこの日は練習を休まずに(昨年まではこの日休んでいた子もいた訳です)
毎年、ココでみんなで観ようね。と近い合ったそうです。
お迎えの帰り道に、その話を聞いたKちゃんのパパは感動しました。