森鴎外というどうしよもない権威主義者(3)
さあって、本日の馬太郎さんは~っ。
馬太郎です台風が来て全国雨模様ですね。沖縄に行ってるU太君一家は帰って来れるでしょうか?
鴎外と脚気の長い前説も完了しましたので本筋のお話です。
日本人は劣等感と優越感に揺れ動く特性を持つ民族です。
明治の文明開化によって武士道とは別に欧州の「合理主義」というものを手に入れました。
日本人は両極端なところがあります。
国家総出で西洋への劣等感を克服しようと試みます。
たとえば、体格。
それを食事でなんとかしようと考えたりします。
肉食(すき焼きに代表せれる)や牛乳を飲もうですね。
当時は体に良いとは理解できても牛乳は「臭い」といってはなはだ人気がなかったとか。
まあ、日本人の西洋化はこんなところにもあったわけです。
攘夷とかの精神がいまだ残っていた時代なのに不思議ですね。
なんで食べ物の話をしたかといいますと、麦より米のほうが栄養価が高いと考えられていた。
日本人は西洋人と同じような体型にならなければならない。
これも日本の近代化だったわけです。この辺がちょっと悲しくありませんか。
それと当時の経済は株式市場ではなく米相場が大きい。
軍事物資としての米価の調整や日本の産業構造の関係。
規模の小さい海軍は小回りが利くだろうが陸軍がパンやビスケットをどうやって
戦地でつくれるのか! という意見もあったでしょう。歩兵が中心ですからね。
けれども、だからといって、しょうがない。ではダメ。
それをなんとかするのが人間の知恵の使い所でしょ。(頭は生きてるうちに使え)
結局、ドイツという医学先進国の権威と帝大のメンツの問題です。
ついでに言いますと、日本人はアカデミックとか権威に弱い人種です(どこでも同じか)。
鴎外が帝国大学医学部とかドイツというものを重視した背景はここにあります。
大山巌(薩摩)の妻・山川捨松(会津)のお兄さん健次郎が帝大総長になっていることからも
当時の帝大が薩長色のない組織であり、第三の勢力になりえたのかもしれません。
帝大の権威様からは七学者というのが現れて、日露戦争を煽り、ポーツマス条約以前には
御丁寧にロシアから日本が要求すべき、あるいはもらうべき領土、利権、賠償金などを
国民に訴え(実際は漏らされて)、日比谷焼き討ち事件を引き起こしております。
まあ、それを煽った張本人は新聞メディアなのですが。それ別の記事で書きます。
権威に弱い日本人。ある種、素直なのでしょ。
ただね、脚気の原因がビタミンB1にあり、食物摂取によって効果があると判明しても
鴎外は終生それを認めなかった。
また、その出世の糸口を掴もうと、別の権威の首魁である山県有朋に接近している。
山県は長州閥、陸軍の法皇であります。幸いにもこの山県の爺はそれを嗅ぎとり
そばに近づけなかったというから愉快ですが。
かといって、鴎外が我が出世欲だけに脚気問題解決に反対したわけではないようです。
彼が当時の炭坑成金をにがにがしく感じていた記述もありまして、
正義感とか日本人の「品格」は備えていたいたようです。
しかし、彼は終生、己の非を認めなかった。大馬鹿野郎様なので御座います。
森鴎外には気をつけろ!