あかんたれブルース

継続はチカラかな

フーテンの寅、テキ屋の寅さん、男はつらいよ

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 昨夜のNHKの寅さんの番組ご覧になりました?
 再放送のようでしたがよかったですね。
 たまたま前の晩に幸子が来て太った話とこの番組の話をしてましたが、
 前者は上の空、後者は興味深く聞いていたところでして、それが翌日観れてラッキーでした。

 渥美清の生い立ちから寅さんとの出会いと彼の死までを綴った作品です。

 戦中戦後の貧困、テキ屋稼業、浅草へ、結核、コメディアンへの復活、
 そして、寅さんへ。

 渥美清の文章の上手さにもびっくりでした。深いひとです。
 その風雪から彼はひとの痛みや悲しみ狡さや健気さを知っている。
 その生涯で世話好きな「男前」であるところも素敵でした。

 親友で脚本家の早坂暁との出会いは浅草の銭湯です。
 学生運動で公安当局からの追ってを逃れ吉原に潜伏していた早坂はある日の午後、
 まだ陽のある時間帯に銭湯に浸かっています。他は誰もいない。
 と、誰か入って来た気配は、、、。逃亡者という身の上から一瞬「嫌だな」と、
 俯いて浴槽の脇に寄ったそうです。
 その男は湯船に入ってくると、
 「兄さん、追われているのかい」と、言ったそうです。
 それが渥美だったと。
 テキ屋稼業で危ない橋を渡ってきた渥美清は瞬時に早坂の身の上を察します。
 それが縁で渥美と早坂との親友の関係は生涯続きました。

 早坂は渥美から色々なことを聞きます。

 「女はこういう時には泣かないんだよ」
 「女はこういう時に泣くんだよ」

 渥美は早坂にを語ったりました。
 それは山田洋二にも決して語らなかったこと。

 「寅さん、飽きちゃった」

 癌告知を受けて、そして数年、医者からとめられて、さらに二作。
 その最後の作品のロケ現場での映像とインタビューがありました。
 「寅さんはいつも笑っていて、元気に手を振るんだ。
 スーパーマンは空を飛ぶときは吊されてるんだけど、
 寅さんは元気に手を振る」

 戦前戦後に数々の名優がいましたが、役名「寅さん」で呼ばれたのは、
 渥美清だけだったそうです。