踊る理事会(3)
地下ピット湧水問題はその中で最大の厄介な問題でした。
ふたつの棟に別れた約80世帯の新築分譲マンションの地下空洞部分に水が溜まる。
この事実が発覚したのは受け渡し開始から約1年半後でした。
それが第三期の私たち理事会に引き継がれる半年前のことです。
当初、私はそんな問題があるのなら理事長が弁護士であることは正に適任じゃないか。
と、考えました広末氏は絶対に拒絶だったそうです。
通常他のマンションの理事会の任期は2年というのが多いのですが、うちは1年。
後任のサポートで2人は残るのですが、それにも入らない。
不動産会社の幹部数人が広末氏の部屋を大きな贈答用の箱を抱えて訪問した。
彼の個人的なクレームで屋上階のベランダの整備工事は既に終了していた。
など、私の知らない噂はマンション中で流れていたようです。
私なんかは地下ピット問題さえ知らなかったもんね。
無関心でした。
なんで副理事長を引き受けたかというと、その無関心から最初の理事会を忘れていて、
遅れて出席したからです。
その時、若い新理事長は周囲に強要されて引き受けざる負えない状況。
ポストは理事長と副理事長しか残っていなかったです。
(でもなんで俺には理事長を強要してくれないの?馬鹿だと思ったんだろうな)
当初はこの新理事長決定も広末の魂胆なのかと勘ぐってしまいました。
理事会の役員選出は希望者を募る手順から始めますが、そんな希望者はいません。
誰だって余計な仕事を増やしたくない。というのが本音です。私もそうです。
みんな責任なんて負いたくない。
そのくせ、総会なんかでは苦情とか結構言う人は多いです。まあ2割り。
例の「二八の論理」の逆説版ですかね。
で、どうやって選出するかというと、ビンゴできめます。
そのためのビンゴゲーム一式が買いそろえてあるのには、びつくり。
実際に次期役員の選出には私も立ち会いました(涙)。アミダじゃダメみたいですね。
とにかく後でブーブー言われない手順と形式が大切なようです。
これも都市生活者の不自由というか不信感というか現実なのでしょうか。