踊る理事会(4)
私が副理事に就任して、広末と対立したり、理事会を仕切っているように見えたのか、
管理会社の担当者から個別に会いたいとの連絡がありました。
少し躊躇はしましたが、その旨を理事長と理事の武田さんに伝えて、
(一応誤解を生まないために)
指定の日時に近くのファミレスに一人で行ってきました。
担当者と上司の常務、そして、施工会社の部長も同席しています。
用件は「今期の理事会で湧水問題をよしなにまとめて欲しい」とのこと。
と、言われてもね。
私がどうこうやっても住民が納得しないことには話はまとまらない。
そう思いませんか部長さん? と水を向けると、
「いや、それは承知のうえです」
馬鹿野郎、だったらなんでこんな所に個別で呼びだすんだよ。疑惑のもとだろ!
とはいわない。そのかわりに、
「ところで、御社と前理事長とは何か特別な約束とかあったのですか?」
と、カマをかけてみる。
これには部長も管理会社の常務も相当狼狽しました。その狼狽の理由は分かりませんが。
「いや、これは単なる噂なんですがね。だいたい揉め事を抱えているのに、
当事者の建設会社と中立の管理会社が一緒で個別に理事役員を呼び出すってことから、
そんな噂に広がっていくと思いませんか」
てな感じで、食事を勧められましたが、そんなジョナサンのめしを彼らと喰っても
仕方ないのでコーヒー代の小銭を置いて出てきました。
家に帰ると6階の武田さんから電話が入っていました。
すぐ上がって来てくれ。
はは、部屋は別でもみんな同じ所に住んでいるんですね。当たり前ですが。