秋深し隣を何を喰う人ぞ。
少しお気楽ネタで。
私にはこれまで幾人かの恩師と呼べる人たちがいました。
そのなかの鳩山さんとは現在も進行形でお付き合いしています。
かれこれ20年近いですね。私よりもふたまわり年長者。
彼の葬儀では私が悼辞をやるとのことです。
多分、私が上京して一番優しくしてくれたのが彼です。
祖母の生まれ変わりかと思ったこともありました。はは、計算が合わない。
天才肌の人で一般社会や組織では誤解されるタイプですが、
よく話を聞いてみるとなかなかの思慮深い方で、思いやりのある優しい人です。
大手の新聞社を退職されるときに一切の仕事をやらないと宣言した彼に、
それはあまりにも寂しいと強く何某かの仕事を続けるように勧めたのも私でした。
その説得の効果か、はたまた退職間際に思う事もあったのか、小さな定期モノの仕事を始めました。
鳩山さんはご機嫌です。悠々自適な老後、千葉から浅草に引っ越して来ていっぱしの江戸っ子。
上野界隈の散策や時代小説を古地図に照らし合わせて楽しんでもいます。
ところが、2年ほど前の秋。
私は彼のある変化に気付きます。
最初は電話応対の会話が少々咬み合わないというものでした。
それが少しずつイライラしていくようになります。
一年後の秋口にはさらに症状は悪化していました。
惚けてきている。
老いは誰にでも訪れます。
けれども、親とか身近な人の老いの症状ほど悲しく寂しいものはありません。
日によってそうでもないときもあって、そんなときは嬉しいです。
多分、私は彼の娘さんの婿殿よりも付き合いも長く親しい間柄なのでしょう。
大抵の我が儘は聞いてきましたし、それに見合う恩義も義理もあります。
彼の優しさに絆されて帰りの地下鉄で何度隠れて泣いたことか、、、。
問題は仕事が絡んでいること。
あまりの事に時々は声を荒げて叱ったりもします。そういう間柄なんです。
でも、そのとき彼は凄く悲しそうな表情になるので、それ以上はとてもとても。
数分、数日経つと次の場面ではケロッとしています。そりゃそれでいいんですが。
前回の夏、印刷所のミスで3万部の刷り直しという大事故が発生しました。
私のこれまでの経験にもなかった事故です。
冷静に慎重に、私は事後処理をこなしました。印刷会社の人間にも因果を含めて。
が、それとは別に私に内緒で隠蔽しようとしたのが、他ならぬ鳩山さんだったのです。
なんとかその目論見は覆しましたが、愕然としました。以前なら絶対なかった。
判断能力が確実に壊れてしまっている。どんな言い訳をしても駄目です。
そして、秋再び、、、。この間の雨の激しかった日です。
今回は撮影の当日に、商品の発注を忘れます。
これは大変なチョンボで料理の先生、カメラマンなど多くのスタッフが迷惑します。
関係者が奔走して事なきを得ましたが、問題は、本人がさほど気にしていないことです。
そして、翌週の打ち合わせの日取りをまた間違ってしまっている。
本人は元気いっぱい。やる気満々。絶好調。
家族も一緒に生活しているなら分かっているとは思いますが、
いったい、誰が彼にそのことを伝えるのか?
えっ? 私ですか? 勘弁して欲しい、というのが心底、本音です。
あああ、月曜日も一緒なんだよなあ。
ホテルニューオータニのラウンジで鳩山さん逆噴射。。。
ちっともお気楽ネタではなかったですね。とほほ