あかんたれブルース

継続はチカラかな

二泊三日で一番感動したのは健気なロールケーキ

 統●教会の続き

 修練会の朝、えっ?行くことにしたのかって?
 そりゃ、義理と人情と信仰を秤にかけりゃ義理が重たい男の世界♪ですもの。
 これで行かなかったら人間やめるよね。(ホントかよ
 場所は京浜東北線で大宮、川越線に乗り換えてひとつめの日進というところ。

 行きの電車で私と倉田さんは始終無言。話すネタを探しますが見あたりません。
 なんか始めてのデートのようです。だって、外で会うの始めてなんだもん。

 駅から2、3分の所に修練所という施設はありました。
 私みたいな若者たちが大勢送迎されていました。入り口で書類に記載します。
 この中の項目で一番困ったのが尊敬する人という項目、はて?
 横目でカンニングすると「マザー・テレサ」こっちは、、、。困った。なんて書こう。
 困っているうちに私が一番最後、、、。ええい、と書いたのが

 「松本清張」(爆!)今でも思い出すと頭痛い

 この修練会には東京の有名大学から様々な学生が参加しています。
 早慶上智、専修、獨協などなど、一番目立ったのが東大生の高瀬君。
 「今日は統●教会に挑戦するつもりで参加しました」だってさ。統●教会って?何?

 隣の男子学生に「おい、統●教会ってなんだ?」と聞きます。
 私はこれまでこの教団の名称を聞かされてなかったのです。
 この男子学生は私の質問がピンとかなくて、ぽぁ~んとします。そして色々教えてくれました。
 なるほど、ブン・センメイ。韓国ねえ。
 彼は拓殖大学の学生で独特なイントネーションから同県人と分かります。
 鹿実出身とのこと。スポーツで入ったんでしょう。
 こいつも義理でと言っていましたが、実は彼女ができなくて、
 この機会に彼女を捜すのが目的だと後で告白してきます。薩摩人は頭の痛い人種です(涙)。

 自己紹介が終わると、中庭に出されて賛美歌を歌わされられました。
 ふと倉田さんの姿がないのに気づき、関係者に聞くと仕事があるので帰ったと聞かされます。
 この時が一番心細かったです。(なんか変だけどホント

 東大生の高瀬君はなぜか私に絡んできます。
 気障な奴です。テレビとか映画に出てきそうな。(イケメンだった
 彼と例の拓殖の栄村の三人がなんとなく連むかたちになりましたが、
 栄村は本気で彼女を捜す魂胆らしので、そのうち野放し状態。
 講義と賛美歌、そして、レクレーション。そして食事。これが粗食で後々辛くなります。
 勿論、禁酒禁煙ですが、私は隠し持っていた煙草があったので夜中に抜け出して吸っていました。
 こっそり、帰ってくると高瀬君が起きてて何処に行ってたんだと聞いてきます。
 「別にそんなに心配してくれなくていいんだよ」と、自分の毛布にくるまりました。

 また、翌日から講義と賛美歌、そして、レクレーションの繰り返し。
 三位一体とか原理の講座は退屈でした。そんな気もしますが、なんか生物の授業のようです。
 歌は案外楽しかったです。今でも口ずさむことがあります。

 「主こそ、我が命 我は、主の僕(しもべ) 日ごと夜ごと ♪ 」

 ささやかな食事の後には必ず講師が「●●兄は何か悩みは?」と声をかけてきます。
 あちらこちならで一生懸命話している学生がいる。(喜んでいる講師 アホらしい
 「馬太郎兄は?」「別に」と私。高瀬君が必ずニヤニヤしています。
 参加してる女学生はどこか頑なところがあって取っ付き憎かったです。それでも怯まない栄村。
 最後は彼女たちから総スカンでしょげてます。少し可哀想。

 修練会最終過程のメシア論は面白かったです。旧約などの知識も得ました。
 最後の打ち上げ会で、私が夢中になっていたと高瀬君が心配していました。そんなことないよ。
 打ち上げにケーキが出ます。今スーパーで100円で売っているロールケーキを薄く切って、
 コンデンスミルクをかけたもの。薄くて立たない。寝かせてあったのが印象的。

 美味かった。

 二泊三日の修練会は無事終了。

 高瀬君が何か話したそうでしたが、何も話さずに別々の車に別れて、
 彼とはそこで別れました。

 帰りは車で送ってもらいましたが凄い渋滞で往生しました。
 
 車中で世話役の人から感想を聞かれ、
 色々考えあぐねて「全体主義の危惧」と答えたら。知的だと褒められます。
 嬉しかったです。この答えでよかったんですね。

 倉田さんはその後、福岡に行くと別れを告げてきました。
 教会の方針だそうです。別れを告げてから会っていません。
 倉田さんに変わる夜の訪問者は結局現れませんでした。
 いま考えれば、不幸中の幸いだったかもしれません。か、先方にも選択の自由があったか。
 
 5年ほど経ったある日、お茶の水駿河台坂下で、「馬太郎君」と声をかけられます。
 ふり返ると貧相な男が微笑んでいる。誰?これ?

 高瀬君でした。
 私は人違いだといって、仕事の打ち合わせ先へときびすを返すします。
 私は既に何回かの転職を経験した社会人でした。
 彼の視線は感じましたが、ふり返ることはしませんでしたね。おしまい