親友の辰雄さんとは既に四半世紀の付き合いです。
私よりひとつふたつ若いでしょうか。
若い頃、渋谷の百貨店のパンフレットの仕事で一緒だったのがはじまりです。
ツッパリ青年だった私は「仕事は足できざんで段取りが肝心だ」と彼に訓録を入れたとか。
それを善意に捉えれてくれた彼は私をいまでも兄のように慕ってくれます。
その後、役者の道を進むこの業界から旅立つ彼。心配したものです。
何度か舞台も観にいきました。
キャラクターでしょうね。割りとキワモノ的な役柄が多かったのですが、
その中でフィリピンから密入国してきたチール(肩こりの薬ね)に魅了される
ヘンな日本語を話す不法労働者の役は圧巻でした。
場所は下北沢のオデオンの裏にある小汚い劇場。(本多劇場じゃない)
妻と一緒にひまわりの花束を持って行きましたから季節は夏。懐かしい想い出です。
最後のクライマックスで彼の大台詞は今も記憶に残っています。
この日本から大量のチールをお土産に故郷に帰る彼の声、その愛してやまない祖国と故郷を
「汚い町、臭い道・・・」と謳う彼の熱演には感動しました。ホンも良かった。
その頃か、もっと後だったか、20年ほど前の話。
辰雄さんから「前略おふくろ様」の再観を勧められます。
このテレビドラマは高校の頃に放送された人気番組で断片的に私も観ていました。
そして、近所のレンタルビデオ屋から早速それを借りて第一話から観まました。
オープニングからショーケンこと萩原健一の素っ頓狂で下手くそな若い演技に吃驚させられます。
ドラマは料亭「分田上」から「川波」を舞台に二部構成になっています。
若い板前の見習・サブちゃんの成長を軸に彼を取り巻く様々な人々の人間模様。
そして、母親との「前略、」で始まる語りがその時々の顛末や葛藤を綴っていく。
親と子、故郷と家族、地方出身者でなけば味わえない思いを託していました。
辰雄さんの術中にはまって、私は泣かされてします。あの野郎、、、。
ブログの記事で親やその老い、家族や故郷のことを語っていて、
ふと、「前略おふくろ様」のことを想い出しました。
しばらくこれをベースに語ってみたいと思います。
脚本は倉本聰
近くのレンタル屋にありましたら、再観賞含めておすすめします。