あかんたれブルース

継続はチカラかな

コーヒーとたむろする場、半妻さんの男意気と父性。

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前略おふくろ様(続きの2)

 このドラマの一番の魅力をあげるとすれば、役者ですね。
 サブちゃんが憧れる秀次さんは梅宮辰夫。
 鳶の小頭・半妻さんに室田日出男。その弟分が川谷拓三と後から志賀勝
 東映仁義なき戦い』のメンバーが大挙して登場です(笑)。
 川谷拓三は『県警対組織暴力』で菅原文太と山城新吾に無茶苦茶な取り調べを受ける
 やくざを怪演した直後でして、もっとも光輝いていた時期でした。
 それと秀次さんは元やくざでして、ドラマの途中で昔の仲間がスカウトしにきます。
 それを大木実が演じるのですが、彼は実録以前の東映任侠路線の役者。
 割りと善玉役で、鶴田浩二健さんの与力ですが途中で必ず殺される役。キャスティングの妙です。
 
 いとこの海ちゃん役の桃井かおりもこの作品が出生作ではないでしょうか。
 『八月の濡れた砂』などよりもいいです。あれは石川セリの歌、懐かしいなあ。
 小松政夫もいいですよ。電線音頭など当時でも今でも超面白い役者です。
 現実味ある演技と役柄が光っていました。

 二代目女将の「川波」の八千草薫は年甲斐もなく可愛くて、魅了されました。
 私の高校一年の致命的失恋は八千草薫似の同級生で(なんだそれ?)、
 その後、自暴自棄になった私は破竹の18連敗という快挙を記録します。(日本語が滅茶苦茶)
 「君が好きなんだ付き合ってくれ」(勿論方言で高校一年の文化祭の後)
 その時のゾッとするような彼女の微笑み。(彼女、楽しんでいましたね)
 「付き合っている人がいるの」
 嗚呼、史上最大の失恋。(なんだよ新ちゃん絶対大丈夫って太鼓判おしたじゃないか!)
 私は親友と信じた例の新ちゃんに騙されました(泣)。
 いまでも八千草薫の姿を見ると胸が疼きます。(おい、ヘンだぞ)

 このドラマでは喫茶店とコーヒーが大きなポイントでして、時代ですよね。
 喫茶店にたむろする半妻さんたち。みんなコーヒーが大好きです。
 今では喫茶店の数もめっきり減って、ドトールやらスターバックスとかに衣替え。
 到底、たむろするソファーもなければ真っ直ぐな足のウエイトレスもいません。
 半妻さんは痔持ちなのでお尻に悪そう。
 その半妻さんはドラマの途中でマドンナ・かすみちゃん(坂口良子)をあきらめ、
 子連れ女と結婚します。その後の半妻さんのだらしなさに苛立つ利夫(川谷)。
 クリスマスイブの夜、サンタクロースの姿になって子供にプレゼントを忍ばせる半妻さん。
 私たちの父親像としてのひとつの手本がそこにありました。眩しかった。

 数年して、辰雄さんは芝居では到底喰えないので再びこの業界へ帰ってきます。
 同時に美しい彼女と結婚、可愛い女の子を授かります。
 彼は万葉集の一節から美しい名前を彼女に付けました。(そのあたりのセンスあるんだよね)
 一年後、私も男の子が産まれて、お互いに父になったことを喜びます。
 ふたりとも半妻さんの注射をどっぷり打たれていたので、筋金入りの子煩悩になっています。
 半妻さんは血のかよう云々に関係なくその子供たちを愛していました。
 ドラマとか作り話とかどうこう言う前に説得力ありましたね。
 すくなくとも私と辰雄さんはそう熱く語ったものです。