いま、日本の社会で噴出している問題の根本は「本音」と「建前」のねじれ現象にある。
と私は考えます。
社会の成熟化というものが、それを生んだとすれば恐いことです。
以前、「法家」と「儒者」の戦いが紀元前から続いていると書きましたが、
どちらが正しいというのではなく、それはバランスが大切なのだと思います。
いま、そのバランスが非常に悪いのでしょう。
いま、その矛先が役人や公務員に向けられていますが、民間企業でも大きな問題は存在します。
宝島社の「決算報告書の見方」とかの本が売れたのは5年ほど前でしょうか。
オンライントレードの普及が個人投資家を拡大させて、デイトレーダーも急増した時機です。
私は信用取引というものに危惧を感じるのですが、健全な市場メカニズムにおいて、
それは否定できるものではないと、きっぱり諭されてしまったものです。
実際に健全な経営を行っている企業があり、情報開示から決算報告書でそれを見いだし、
その企業に投資することはいいことだと思います。
粉飾さえなければ。
粉飾決算は後を絶ちません。ちょっと前のカネボウから最近はライブドアもそうでしたね。
数字さえ帳尻があっていて素晴らしければ、みなOKってやつです。
それで株価は上がり、下がる。企業も必死になります。
優秀な税理士や会計士の手腕の見せ所なのでしょう。犯罪すれすれの瀬戸際の数字のマジックです。
上場すれば広く投資家から資金調達が見込める。
上場はステータスでもあり魅力があるようです。
こういった一般企業では数字の建前論が幅を利かせています。
たとえば、9時から6時の作業態勢で残業の少ない、いや無い会社。それでいて業績も堅調。
一見、魅力ある会社だと思いませんか?
けれども実体は残業はある。しかもあってはならない残業ですからサービス残業です。
会社で終わらないので自宅に持って帰ってやる。それでも終わらない。
そして、朝は9時に出社しなければならない。何事もなかったように。
この繰り返しで疲弊して閉塞感に陥っている人たちが沢山います。
思えば、アメリカの四半期決算の在り方に嫌な予感を感じたのでした。
日本でもグローバルとかの掛け声で、旧体制日本型経営方針の是正とか終身雇用制の見直し、
成果主義、年俸制などなど多くの組織改革が施されましたが、
結局、数字の帳尻あわせに現場の人間が奔走しているのが実体のようです。
そこで本音など宣えば「負け組」決定になってしまうんでしょうね。
とにかく、我慢することが仕事になっているようです。