あかんたれブルース

継続はチカラかな

馬太郎の錦繍

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 宮本輝の初期の作品に『錦繍』という純愛小説があります。
 かつての恋人同士が結ばれることなく月日を重ね、再び出会う。
 そして、綴られていく文通で物語は構成されていきます。
 きんしゅう。なぜか秋を感じる言葉でした。

 昨年の11月。
 一本のメールが届きました。
 「お久しぶりです。桃子です。」
 その差出人の名前をみて、なんだ新手の出逢い系勧誘か?と。
 一応、開きます。別に意図はない。削除するのにもクリックはしますから。

 前文をかるく読んで、目眩がしました。
 彼女は私の幼稚園の時の幼なじみだったのです。
 しかも、よおーく考えてみれば「初恋の人」じゃなかったか?
 幼稚園で初恋とは少々マセていますが、そこは馬ですから人間とは比べられない。(笑)
 でも、微妙。。。本当は小学1年生のときの梢ちゃんだったか。(どっちにしてもマセてる

 私の著書を読んでくれて、その感想を添えてのメールでした。
 アドレスは私の友人に問い合わせたそうです。
 懐かしくもあり、唐突でもあって、恥ずかしながら少しときめきました。

 けれども私。彼女の顔を幼稚園の頃の面影しか知らない。
 変な感じです。
 幼稚園以来同じクラスにはならなかったこと。
 彼女は町一番の病院の娘。
 中学か高校は県庁舎在地の有名進学校に進んだのでおバカな私とは縁がなかったのです。
 だから桃子ちゃんは鉄腕アトムの妹・ウランちゃん似ですが、歳は、45歳を、越えて?いる?
 想像すると、やっぱり変ですね。

 それでも私の錦繍は始まりました。便箋ではなくメールでね。

 現在は市内で医者と結婚して4人の子供がいるとか。
 長女は医学部受験だそうです。

 私の想い出は彼女の家に遊びにいってお手伝いさんから邪険にされたことしか残ってない。
 彼女が実は博多で生まれたこともメールで知りました。
 なにも知らない。でも知っている。知っていく。

 何回かそれを交換するうちに、妙な気持ちになる。
 いや、別にどうこうというわけではないのです。もう枯れてますから。(涙)
 それでも相手の顔が分からない、イメージできないって変な気分ですよ。
 夜中にふと目覚めて、そのことが頭をよぎると「永遠」という言葉が重なって、
 無性に狂おしくなる。色恋とは違うんです。違うはず。

 で、ブログをはじめる5月頃から交信をやめてしまいました。

 別にどおってことはない。
 続ける理由もない。
 彼女からも連絡はこなくなった。
 そんなものです。

 さて、なんで気が変わったのでしょうかね。
 年の暮れで人恋しくなったのでしょうか?
 先週、また久々にメールしてしまいました。そして、彼女からメリークリスマスのメールが届く。

 今し方、その返信と「よいお年を」を添えて送信したところです。

 錦秋の輝く糸を織りなすように私の錦繍は、続きは来年ね。