あかんたれブルース

継続はチカラかな

偶然に聞いた「ツバメのように」の弾き語り

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贅沢三昧(2)

 22歳の時に原宿のデザイン会社に就職しました。
 表参道と明治通りの交差点にあったセントラルアパートから数年後、
 青山の骨董通りのマンションに事務所は引っ越します。

 ある日、残業のために同僚と夕食に事務所をでました。
 マンションの出入り口を右に曲がって、骨董通りに向かおうとしたとき、
 その2階からピアノの音色が聞こえてきます。

 ♪ もう会えない 彼女の最後の旅

 ピアノの弾き語り 女性の声も聞こえてきました。

 ♪ サイレンに送られて遠ざかる

 足をとめて、聴き入る私と同僚。
 このマンションの2階には松任谷由実の事務所があります。
 そう、歌声の主はユーミン本人。
 曲は「ツバメのように」

 しっとりとしたスローテンポで歌いあげている。
 観客は私たちふたりだけ。
 なんかとっても贅沢な感じでした。


もう会えない 彼女の最後の旅
サイレンに送られて遠ざかる
誰かが言った あまり美人じゃないと
ハンカチをかけられた白い顔を

高いビルの上からは 街じゅうが
みんな みんな みんな
からしかったの
ああ 束の間 彼女はツバメになった In Rainy Sky
なんて肌寒い午後でしょう

もう会えない 彼女は年をとらず
生きてゆく私には 綺麗だわ

哀しいリムジン 彼女の最後の旅
裏切った恋人のせいじゃない
薔薇のように 舗道に散った汚点(しみ)を
名も知らぬ掃除夫が洗っている

どんな言葉に託そうと 淋しさは
いつも いつも いつも
ひとの痛みなの
ああ 束の間 彼女はツバメになった In Rainy Sky
流れる記憶は走馬燈

もう会えない 彼女の最後の旅
サイレンに送られて遠ざかる

*『OLIVE』収録(1979年)