あかんたれブルース

継続はチカラかな

林きむ子の養母・はなと浜の家

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 さて、林きむ子の養母を内田はな(花)と申します。

 父は江戸随一の白酒屋「豊島屋」の支店の番頭さんでしたが、天保の改革で路頭に迷います。
 はなは7歳で浅草山谷堀芸妓屋に売られる。その後、新橋で「小浜」と名乗って売れっ妓になる。

 その小浜に惚れたのが井上馨で御座いました。

 江戸の芸者衆は薩長の芋侍が大嫌い。
 吉原あたりでは「情夫(いろ)をもつなら彰義隊」といわれた時代です。
 そんな勤王の田舎侍に温かく接したのが新橋金春(こんぱる)芸者たちでした。

 維新後、勝ち組となた彼らは新橋を贔屓にします。

 井上は女性に持てない。
 性格的な問題か? 
 はたまた彼の体には長州の内紛で狂信的な攘夷藩士に膾(なます)に切り刻まれた傷跡数十カ所。
 大抵の女性は後込みします。

 ところが小浜、井上に惚れた。

 相思相愛の二人。維新後、井上は彼女を築地の屋敷に迎えました。結婚式秒読み。

 ところが、小浜は誘拐されてしまいます。

 犯人は芝口の源七という土地の顔役で通称「伊勢源」。
 今で言う暴力団の組長ですな。とんだ横恋棒。(馬に蹴られて死んじゃえ~)
 「おっかさんの使い」と称する伊勢源の子分に騙されて籠に乗った小浜ちゃん。
 はて、道が違うと気付いた時には万事休す。

 すべてを悟った小浜。さっぱりした女でしてね。

 「井上さんだって行く先々で好きなことをしてきた人。
  わたし一人を守れるわけがない。
  牛は牛づれ、わたしのような女は親分の世話になって
  世の中を七分三分に暮らすのが分相応なんだよ」ときっぱり。

 シビレますね(涙)。

 で、それを知った井上馨! 

 「うん、その方が水にあうだろう」 (こら!聞多、何だそれ!(怒))

 で、井上は新橋で遊びまくって清元の高田家鳥助を最初の夫人とします。
 小浜は侯爵夫人を棒に振ってしまった。
 そしてやくざの妾になった小股の切れ上がった小浜ちゃん、新橋に「浜の家」という料亭を出す。

 ほら、話がだんだんつながってきましたね。

 その店を贔屓にしたのが伊藤博文井上馨。明治の待合い政治の場となります。
 ある日、ふら~っと頭山満が上がり込んで7年流連(いづ)けを決め込む。
 そこに9歳で養女にもらわれていたのがきむ子ちゃんでした。
 杉山茂丸も「ごめんくださ~い」とやって来る。

 また、井上がその後、再婚したのが大隈重信に預けられていた中井弘の妻・武子。
 そのお腹には貞子がいましたよね。
 そして、貞子は井上の娘として原敬に嫁ぐ。(「悪妻「貞子」の素性」参照)

 URL: http://blogs.yahoo.co.jp/djkxq447/26935795.html
 URL: http://blogs.yahoo.co.jp/djkxq447/27884320.html

 因果はめぐる糸車。
 点と点が結ばれていく、明治って面白いでしょう。


写真は薄情者の井上馨
小浜の写真が欲しかったですね。あるけど画像が悪くって、、、。