陰徳報陽(2)
日本の企業家でその陰徳を「必死」に積んだ人物は誰か?
私は安田財閥の創業者善次郎だと思う。
一代で巨万の富を手に入れた立志伝中の人物です。
そのため、彼に借金を求める者は多かったようですね。
安田善次郎はそれに対してきちんとした長期返済計画を求めました。
それに納得できなければ貸さない。合理的な性格だったようです。
一時しのぎに金を貸しても立ち直りを遅くするという彼独自の人生観もあったとか。
従って、断るほうが多かった。
「冷酷な守銭奴」という汚名が一人歩きし始める。
で、この人は暗殺されてしまう。
原因は借金を断られたといいますが、計画的な犯行でもあったみたい。
犯人・朝田平吾の自殺によって事件は闇の中。
陰徳とは仏教の「陰徳報陽」
「人に知られないで善行を施せば必ず報いがある」
善次郎は自分の善行を知られないように気を配りました。だからみんな知らない。
往年の名ジャーナリストが貧窮にあえいでいると聞けば小切手を側近に持たせました。
援助されている者が誰(善次郎)から援助せているのか分からない場合もありました。
東大の安田講堂や日比谷公会堂も彼の生前の約束が死後果たされたものです。
それとも彼の陰徳に問題があったのか?
陰徳って難しいですね。
もっと非道いのはいまだに安田善次郎に対しての人物評はよろしくない。
政治家とか実業家に対してのジャーナリストの筆は厳しいですよ。
これが因果応報なの?
美徳を求めるくせに 風説に揺れる 世間の風は冷たい。
こんな暗殺劇が掃いて捨てるほどあります。
それでもみんな正義満々。いつの時代でも
余談ですが、日本で陰徳を一番心掛けているのは鳥取県民なのだそうです。
鳥取県民よ、気をつけろ。