かなりやの館(4)
梅は咲いたか桜はまだかいな~あ
東京の花見の名所は上野とか靖国神社千鳥が淵あたり。とは別に、
青山墓地の夜桜っていうのも結構、賑わいます。
墓場で花見?って、変でしょう。
当時、会社が近くにあって毎年お客さんや知り合いを呼んで宴会を主催していました。
その年は、東山さんも招待しました。全部で10人ぐらいでしたかね。
彼、遅刻して来たけど、喜んでいました。最初はよかったのですが、、、。
相変わらず、ある一定量のアルコールが体内に入ると、変身。
ジキル博士とハイド氏ならぬ東山さんとマリリンとまだ知らぬ色々な人格、、、。
一瞬、座が固まりましてね。私と妻は知ってましたが、それ以外は鳩が、豆鉄砲。
ま、座興というか宴会だから、みんなで観賞するのも花見の一興と、思ってたのですが。
少し、刺激が強すぎたようです。それにあの晩の東山さんはテンションが高すぎた。
個別に東山さんが挨拶にまわります。いやマリリンが(それとも違う人格だったのかな?
ゲスト諸兄は変なオカマバーに来た感じだったでしょう。
東山さんの挨拶自己紹介に必ずキスがサービスされます。ディープなやつが。(口と口ね
オカマバーは接客業ですが東山さんは単なる変態なのでそこの手加減が無い。
普段、大物を吹かすコピーライターP氏が逆上してしまいました。
想定外のシチュエーションにパニック症候群に陥ったのでしょうね。
強きに果敢に虚勢を張りだし、東山さんとキス勝負を始める。(なんか見ていられない。
東山さんは舌を絡めるし震動させるし回転させます。(思わず目をそらす。
P氏の顔が真っ赤になってる。目は恍惚か?と思いきや怒気があるなあ。(やばいぞ。
私は、カメラマンのTと世間話をして誤魔化していました。
後ろで妻と東山さんが何か語り合っているみたいです。
「それでね、Dちゃんには申し訳ないんだけど、ワタシ、馬太郎さんのことが好きなのネ」
「・・・そりゃどうも・・・ありがとうございます」と妻。
「ありがとう!理解してくれてDちゃん大好き。ブチュッ」
それを目撃したTさんが激興。彼は私の妻が好きだったんですね。(これは又別の機会に
「おい、馬ちゃん(怒)。あんなことされていいのか!」
「ああ? ああ、いいよ。異性関係とかの問題じゃないでしょ(汗)」
東山さんはさらに暴走します。とめても聞かない。
ア○ス!○ヌス!ア○ス!アヌ○!ア○ス!○ヌス!を連呼して、舌を回転させます。
こんな彼は初めてでした。完全に壊れている。
ここで伏せ字でも表記できない単語が彼の口から発せられる。サイレンのようです。
なんか周囲の花見客の視線も痛くなってきました。
そして、
みんなアルコールもまわってきて、、、。
相撲が始まります。東山さんとP氏のガチンコ。本気で投げ飛ばされる東山さん。
泥だらけ。白いワイシャツ、、、。額に汗とドロと少し血が、、、。
東山さんは笑っている。そして何度も何度の投げられる。東山さんは嗤っていました。
宴は狂乱狂気。ソドムの市のようです。東山さんドロドロに退治されてる。
私は堪えられなくて、妻に、「帰ろうか」
妻、「えっ、いいの? 東山さん放っておいて、、、。」
私、「いいよ」
私たちは、お先に失礼します。
翌日、東山さんに電話しました。
昨夜はあれからどうでした?
「いやあ、終電がなくなって、新宿のカプセルホテルに泊まりました。
なぜか服が汚れてしまっていて、困りましたよ(笑)。
楽しかったです。また、誘ってください。」
最後の東山さんの小さな嘘が切なかったです。