あかんたれブルース

継続はチカラかな

待ちぶせ

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 高校の頃、野球部に席を置いていました。
  
 それと平行して、闇の組織の一員でもありました。(なに?それ?)

 校内に喫煙所や賭博場を設置したり、ソーメン流しのイベントなどの興行。
 パトカーにも2回ほど送迎され、ギターをつま弾きバイクでGOGO。
 アウトドアインドア宴会も毎週のノルマで多忙を極めました。

 その相方が有ちゃんという巨漢の青年で、私は彼の750CCの後ろで風を遮っていたかな。
 自分は原動機自転車だったので彼の背中に顔をうずめていたのさ。
 いつも一緒で仲良しでした。

 試験勉強もやったもんね。お互いにビリ同志なのに生真面目です。

 その日の夜半、10時頃でしょうか。夜食かコーラを買いに外に出たのだ。
 有ちゃんの家は高校のすぐ近くの裏山にあって、そこをテクテク下山しました。

 暗い夜道を月明かりを頼りに帰路に着くとき、前方に人影があります。

 気味が悪いので、避けて通ろうとすると、影が近づいて来ます。
 何か尋ねられるのかなあと、足を止めると。

 「あんたは有○さんですか?」

 と、名指しで尋ねてきたので此方は仰天。だれ?だ?

 有ちゃんが、「はあ」と返事をします。

 すると相手は態度と言葉使いを変えて、先日市内の本屋でガンを飛ばしたとかなんとか
 恨み言を唱え始めます。誰だ?此奴?
 有ちゃんは心当たりはないと繰り返します。
 一触即発の雰囲気。
 よく見ると後ろに二人の男が控えている。

 嗚呼、明日はテストだっていうのに、有ちゃんとこの男が格闘になれば、
 私は後ろの得体の知れない二人に突進しなければならない。不安だなあ。

 その頃、私達の世界で一番恐れられていたのは船員です。鰹船の乗組員ね。
 やくざは小桜一家というのがありますが99%これはありません。出張所には一人しかいないもん。

 と、考えているまに、ドカンと一発、相手の左拳が唸って有ちゃんの顔面に炸裂。
 体格がいいので怯みませんでしたが、凄い音でした。鈍いやるね。

 私達は手も足もでなかった。

 男達はサッとその場を去っていった。

 有ちゃんの家に帰ると彼の左顔面は見事に青あざ、それから翌朝にかけて腫れは酷くなる。
 彼は、しきりに悔しがっていた。負け惜しみもあったでしょう。
 正直私達は恐かった。でも、誰だ?見覚えがあるような気もしますが?
 地元では人気者で通っていたので恨みを買う憶えはなかたのですが、、、。
 有ちゃんは一晩中痛がってましたよ。可哀想に、痛いやら悔しいやら。

 翌日、有ちゃんはテストをパス。
 私も色々あってさっぱりです。そこに、同じ野球部でセンターを管轄する久保が手招き。
 彼と私と例の新ちゃんの三人が同じ野球部でも仲が良く、
 以前紹介した「南薩白樺派」はこの三人で組織されていました。
 サンリオに投稿するなど、とんでもない無頼の群でしただ。
 
 「なに?」

 「昨夜、有○は襲われなかったか?」

 「なんで、知ってる?」

 話を聞くと、昨夜の手引きをしたが久保と新ちゃんだったそうです。
 新ちゃんはよく登場する小学校3年生からの親友です。
 犯人は隣町の水産高校生でAで私は交友はありませんでしたが新ちゃんの友人だとか。
 なんたるこっちゃ。昨日の後ろの二人は新ちゃんと久保だったのか!

 急いで、新ちゃんの所に行って、なんでそんな事をするのよ。と詰問。

 しつこく言われたので断り切れなかった。
 大体の家はこの辺だと教えるぐらいの気持ちで来たのだが、
 そこにまさかタイミングよく現れるとは思わなかった。
 まさか馬ちゃんも一緒だとは思わなかった。バツ悪るそうに言います。

 その後、私は板挟みで、闇の組織の幹事長からこっぴどく苦言を受けます。
 「お前が付いてて何でとめられなかった」って。(だって相手が誰だか分からなかったんだもん)
 そう言われてもねえ。恐いもんですよ。
 暗闇から待ちぶせ。

 あ~あっ、もっとロマンチックな待ちぶせがよかったなあ。