あかんたれブルース

継続はチカラかな

食い物の恨み

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 私の恩師で一昨年喉頭ガンで急逝した前川さんは
 日本で最初に高校生で税理士免許を取得したのが自慢でした。

 いや、それよりも新宿駅で構内路線付近で警官隊に捕まったこと、
 それから密航してソ連に亡命しようとしたことが自慢だったかなあ。
 彼は学生運動に燃えていたとか。新宿のガード下の飲み屋で嬉しそうに語ります。

      彼は段階の世代。

    私より10歳上でした。
    最初に出会ったのは私が22歳ですから彼は32歳かあ。
    老けた32歳だったなあ(笑)。最初からオッサンでした。

 段階の世代とは相性が悪いです。

 彼らは学生運動を楯に私達をバカにします。結構揉めました。

    前川さんと最初に喧嘩になったのは金のもつれです。
    会社に近くに引っ越ししようと「前借り」を願いでました。
 社長は気軽に「じゃあ前川さんにお願いしろ」といいます。
 私はこの時まで前川さんはうちの会社の役員だとばかり思ってました。

      それほど彼の態度はデカかったのです。

 その件をお願いすると前川さんは快く20万円でしたか貸してくれました。
 私は会社のお金だと信じて疑わなかった。
     翌日、前川さんから電話があって「ところで、お前、金はいつ返す」と。
     で、喧嘩になりました。最後は怒鳴ってガチャンと切っちゃった。たはは

 憤慨して同僚に話すと、前川さんはうちの会社の税理士で社長の友人ということ。
 会社の役員でもオーナーでもないとのこと。
 つまり、私は彼のポケットマネーを借りていたってことですね。たはは

   詫びをいれましたよ。「御免なさい許してください。勘違いしてました」
   おかげで、仲良くなりました。うるさい親爺ですが嘘がないのでいいです。
   恩着せがましいところもありましたが誠がありました。信頼できる人でした。

 その彼が、酔うと必ず出るのが、若い頃のお茶の水駅で食べた立ち食い蕎麦の話。
 金のない三人の若者が徹夜明けに小銭を出し合って掛け蕎麦を食べる話です。

   一杯を均一に順番に食べる。普通は遠慮があって少な目に食べていくのだが、
   二番目に食べた彼奴はほとんどを自分で食べて俺にはお汁しかなかった。

 その二番目の若者というのが当時勤めていたいた会社の社長でした。
 これも怨念って言えば怨念ですね。

     食い物の恨みって、恐いなあ。と思った。
 


写真は楽天から
お茶の水のかけ蕎麦はこんなに上品じゃあ、ない。