スクラップの話(下) 土曜日にサボったので2本いきます(汗)。
『夜を賭けて』
梁石日の原作は10年ほど前に読んでいました。
彼の初期の作品で、荒削りではあってけれど、燃えたよね。
大阪城近くの旧大阪造兵廠。
このアジア最大の兵器工場跡は終戦の前日に爆撃され、
戦後13年も経つというのにそのまま廃墟として存在していました。
そこに有る、スクラップを狙って
夜ごとアパッチ族が群盗と化して奔る。
アパッチ族とは朝鮮部落の在日朝鮮人たちをさします。
その凄まじいばかりのエネルギーと鬱屈。原作の迫力にたじろいだものです。
さて、あの原作を超えられるか?
超えたね。
脚本家・丸山昇一って凄いな。(『探偵物語』とか松田勇作作品の方です)
なんか、映画評を軽くチェックすると「ベタな」と紋切りで書かれているけど、
それがどうかしたの? 最高ですよ。
主役の山本太郎良いです。とても 『GO』も良かった。
日韓合作とのこと。俳優陣が素晴らしい。
『血と骨』<『バッチギ!』<『GO』=『夜を賭けて』 ですね。
ただ、「いい日本人は10万人に一人」という説を唱え、
ラスト近くで奥田瑛二がかっさらっていく。これがねえ(汗)。
彼は戦争にいったひとですよね。設定として、南方だったような気がする。
復員後、警察に再就職。原作にはなかったと思うので私の想像、妄想ですよ。
ヒロインとは大阪のキャバレーで知り合っていた。
肉体関係があった。
山本太郎が無実の罪で警察に拘束、酷い扱いをうけているのを助けます。
それまでにヒロインとこの刑事の間に何があったか、、、。
私には10万人一人の日本人とは思えなかったな。
終戦を境に、こういったニヒリズムに漂う男達も結構多くいたようです。
この映画で不満だったのは10万人に一人と、奥田警部ですかね(笑)。
リアリティーがない。
劇中にハングル版「愛しのクレメンタイン」が使われています。
スコットランド民謡で日本では「雪山賛歌」で知られているやつ。
ジョン・フォードの『荒野の決闘』の主題曲です。誰でも知ってる曲。
なんかこれが戦後の民主主義とか資本主義を象徴させるようで、感慨深いです。
あくまでも米国のネ。
それはそれとして、
舞台は『血と骨』と同じでしょうかね。飲食店の息子が彼なのかな?
『血と骨』で後味を悪くした方は是非、観てね。泣けるよ。
いま、「命がけ」ってある?
そういうのもあってか、この映画に強いシンパシーを感じる。きっぱり
なんでヒットしなかったんだろう? したのかな?
原作も読んでみてね。