甘茶でカプチーノ(3)
関ヶ原の戦いで西軍の大将だった石田三成。
彼は文官でしたが島左近という猛将を有しておりました。
左近は大和の筒井順慶の武将でしたが、浪人して三成にスカウトされます。
当時、三成は四万石の領主。そこから左近へ一万五千石を与えた! それほどの名将だったわけです。
この左近は不動明王の信奉者だったようですね。
お不動さん。東京だと目黒不動尊なんかが有名で、結構ポピュラー。
もともとはヒンズー教のシヴァ神だったのが仏教に組み入れられたとか。
なのに明王では最低の位だそうです(涙)。因みに最高位は愛染明王。
そんなことはどうでもいい。仏教講釈もキリがないのでこれくらいにします。
怖い顔していますねえ。背中から火を噴いてますよ(汗)。
手には剣と縄! グルグル巻きですよ。
あれ? 頭になにかのっている。これ蓮の花
あまたの仏の神様で蓮の花を頭に乗せてるのは彼唯ひとり。
ほかの仏様は悟りをもって天上界、つまり蓮の葉っぱの上にいらっしゃいます。
それを私たちは恋いこがれ憧れ熱望して浄土を夢見るわけです。
この世は辛い世界で、その泥水のなかでもがき苦しむ。
蓮の葉っぱの上と下ではまさに天国と地獄。
でもね、その象徴である蓮の花は澱んだ泥水の中から美しい花を咲かせます。
これは言葉遊びや洒落とかアフォリズムの類じゃありません。
ほら、『男はつらいよ』の主題曲が聞こえてくるじゃありませんか。
♪ ドブに落ちても 根のある奴は いつかは蓮の 花と咲く
とくらあ(涙)。
蓮の葉っぱの水面がこの世とあの世の境でしょうか。
そこにどっぷり浸かっているのが、お不動さまです。
怖い顔をしていますが、俗世にあって苛まれる者達を守ってくれている。
その剣は煩悩を断ち切るために、そのロープは脇道に迷わないためのもの。
宗教って上ばかりを意識して解脱だ天昇だ悟りだと化粧品の訪問セールのようですが、
こんな感じで自ら浮き世の泥水にどっぷり入って、
こら元気をだせよ。自信を持ちなさい。そっちに行ってはダメよ。なんて
強面のオヤジ様が気を配ってくれてるようで、少し素敵だと思いませんか。
お不動さんが庶民に親しまれる所以でしょうかねえ。父性を感じます。
一神教からお不動さんに話は飛びましたが、
多くの神々を有する、比較的寛容な仏教の懐の深さには好感がもてます。
(教団と坊主にもよりますから使用上の注意をよくお読み下さい。ピンポーン)
いまの状況がたとえ、光も遮る泥水のなかで、つらくても、
諦めなければきっと綺麗な蓮の花を咲かせられる。
悟りなんて以前の話で、
みんなどっぷり泥の中 嘆きより根をもって蓮の花 (馬珍