こころの王国(2)
「文芸は経国の大事、私はそんな風に考えたい。生活第一、芸術第二」(菊池寛)
私は、中学の頃から映画が好きで、特にジョン・フォードに強く影響され、
所謂、映画小僧で欧米の作品を貪るように観ていました。
日本映画なんて、屁だと信じて疑わなかった。
(それでも東映の時代劇はよく観てましたけどね)
そんな堅物(?)が、180度方向転換したのが、
高校生のときの『県警対組織暴力』(東映)。
1975年の秋だったと思います。
この映画は東映の岡田茂が「山口組三代目」シリーズで警察当局から締め上げられた腹いせに、
その怒りと思いつきで製作されたものだそうです。
監督と脚本は深作欽二と笠原和夫。「仁義なき戦い」シリーズのゴールデンコンビです。
既に、東映実録路線も下火でコミック路線「トラック野郎」スタートの頃。
けれども、私の価値観、人生観、芸術的な視点を大きく変える傑作でした。
この作品では菅原文太と山城新吾が刑事役で、ちんぴら役の川谷拓三の暴力的な取調が話題となり、
川谷拓三を個性派俳優として世に送り出した作品です。
いや、その迫力! 凄かった(汗)。
時代はスピルバーグの『ジョーズ』、ルーカスの『スターウォーズ』の直前。
新しい映画の潮流を前に、
私はハリウッド映画に背を向けて、どっぷり日本映画それも
泥臭い東映実録路線のリアリティーにハマっていくのです。
リアリティーこそがすべての善し悪しの目安となりました。
『県警対組織暴力』
http://www.showtime.jp/app/detail/contents/e00cnm010100070404865/