あかんたれブルース

継続はチカラかな

愛とお金と そうよ私は天秤座の女♪

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こころの王国(9)



 夫と別居してブルックリンの安アパートで二人に子供を育てている。

 誰から見てもヘティは貧乏な女でした。

 徹底した倹約家、いや合理主義でありクエーカー教徒の彼女が
 すり切れた一張羅の上着を着て向かす先。
 行き先は、彼女には無縁のようなケミカル・ナショナル銀行。

 実は彼女、ここに莫大な預金をしている。そのことは関係者以外、誰も知らない。

 その資産額は約1億2000万ドル。現在に換算すればおおよそ1兆円。

 彼女がニューヨークで姿を偽り生活するのは脱税と投資のためでした。

 金持ちの娘に生まれたのに、ヘティはビジネスに情熱を燃やす性質だったようです。
 親からの遺産を南北戦争北軍の勝利に賭けて大儲けをします。
 既に一生遊んで暮らせるお金が倍増。彼女にはセンスがあった。

 投資、投機で彼女の読みはすべて的中していったのです。

 夫エドワード(彼も金持ち)との結婚の条件は
 「お互いの資産の別管理」 まさに契約のようです。

 そんな彼女に、ある日息子のネッドが泣きついて来ます。
 「お母さん、足が痛い」
 見ると息子の足は黒く腫れ上がっている。尋常ではない。

 倹約家の彼女も最愛の息子のため、清水の舞台から飛び降りる気持ちで
 医者に行くことを決意します。そこまではよかった。

 「そういえば、無料診察券があった。。。確か。。。戸棚の。。。」

 以前、といってもかなり昔のその無料診察券。いくら探してもそれがない(涙)。

 ようやくそれを探し出して、乗り合い馬車で、その無料診療所にたどり着いたとき、
 その無料診療所の医者は完全に手遅れであると宣言するしかなかった。

 「ウォール街の魔女」と言われたヘティ・グリーンは泣き叫びます。
 「なんでもっと早く腕の良い医師に診せなかったのだろう」
 この嘆き悲しむ母親を世間は嗤う。

 最愛の息子は合併症のために片足を切断してしまうのでした。

 こういった話は面白可笑しく伝えられるので、
 実際に息子の足が貧民のための無料診断所いったからとか、
 その無料診察券を探す時間で手遅れになったという訳でもないかもしれない。

 この話のオチは

 この件でヘティは息子に負い目を感じて甘やかすようになったそうです。
 息子は道楽息子に成長しました。

 彼女が死んで、その遺産がその息子と娘に二分されます。

 息子はその散財に励み、娘は慈善事業に励んだそうです。



 若貴親子とは別な意味で
 ちょっと可哀想なヘティ。
 ウォール街の魔女といわれた女。