あかんたれブルース

継続はチカラかな

手渡されたバトン

 昨日、テレビのチャンネルを回していたら川口松太郎

 昭和を代表する劇作家。長谷川伸と双璧をなす。

 貰いっ子だったんですね。翁が生い立ちを語っておりました。

 育ての母親に「こんなことなら貰うんじゃなかった」と云われて
 子供心に大変ショックを受けたそうです。

 小学校を卒業すると丁稚奉公へ。どれも長続きしません。
 浅草の伝通院通りに古本屋を始めて、本に親しむと
 小説家久保田万太郎に師事する。
 その久保田から作家修行にと、講談師の速記を勧められます。

 「講談なんてものはね、時代物っていったって嘘ばっかりなんだ。
  それでも、言葉の掛け合いっていう点では勉強になりましたねえ」

 講釈師、見てきたような嘘を言う。なんていうのがありますが、
 翁は講談から小説戯曲の呼吸を学んだようです。

 その後、翁は大衆作家として名声を獲ていきます。

 私が知る川口松太郎とは巨匠、大御所でした。
 マキノ雅彦とダブっていたかもしれませんね。
 「キーハンター」の川口浩の父親。夫人は女優の三益愛子。実は長く川端康成とゴッチャになってた(汗)。

 「おそめ」の客としても登場していましたね。

 
 その川口翁が直木賞を受賞する際の話。

 候補にあがてはいるが、大衆作家として手垢のついた川口の受賞に反対する審査員たち。

 そこに、菊池寛が訴える。

 「確かに、川口は有名ではある。しかし、一流ではない。
  私は川口に直木賞を取ってもらって、一流になって欲しいと願う」

 なんかこんなニュアンスだったと思います。

 ここでインタビューに答える川口が泣くんだ。

 嬉しかった。と手拭いを目にあてる。

 あんな情のある人はいなかったと。翁が泣く。


 もらい泣きしいてしまいました。

 菊池寛、やっぱり素敵な人です。凄い人だ。