妹の職場に怪異があるそうです。
超常現象とは違う。
出るそうです。
緑人間が。
仕事をしてて、ふと視線の内と外に間に現れる
その緑の物体は確かに人間の形をしていると断言していました。
動くそうです。スタスタってと。
カーテンの中から出て給湯室の方へ、背後から出口のドアの方へ。
目撃したのは妹だけじゃない。職場のほぼ全員。
ほぼというのはその騒ぎが起こる前にやめた人たちの確認が取れないから。
人の出入りが激しいそうです。そこは駅前の2号店。
アクセスはいいはずなのにお客さんも少ない。
そんななかで、劉さんがその職場に泊まった夜。
夜中に熟睡していたとき、突然、膝の上の太股をビッシャと誰かに叩かれた。
驚いて目を醒ましたのですが誰もいません。
その話を聞いて、「寝ぼけて自分で叩いたんじゃない」と妹。
劉さんは興奮して憤慨して胸を張って言います。
「見てくれ、幸子。私の手は短い。膝の上の太股にはとどかない」
そう言って、劉さんはぎこちない二丁拳銃のガンマンのような格好をしてみせた。
確かに劉さんの手は短い。
緑人間。本当にいるのでしょうか?