あかんたれブルース

継続はチカラかな

千恵蔵の槍がケツに刺さった!

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 馬太郎の古き良き日本映画探訪の旅
 今回は
 片岡千恵蔵の『血槍富士』でガス。

 片岡千恵蔵というと市川右太衛門と並ぶ東映の二大看板スターで、
 中村錦之助東千代之介大川橋蔵。大友柳太朗などよりも前の世代。

 市川右太衛門は「旗本退屈男」シリーズが印象深いですが、
 片岡千恵蔵はなんですかね?「遠山の金さん」かしらん?
 独特の江戸弁が素敵です。

 殺陣も力強いものがあった。

 テレビシリーズの「大岡越前」の初期の頃、主人公役の加藤剛の父親の役。というと分かるでしょうか。

 この『血槍富士』は確か日本映画(戦後)ベスト50に入っていた作品。
 
 東映の時代劇としては異色ですが、片岡千恵蔵の代表作でもあります。

 ただし、千恵蔵の役どころは槍持ち中間。

 自慢の殺陣は封印されて、格好悪く槍を振り回して主人の仇を討つというお話です。

 東映時代劇などをチャンバラ映画いいますが、歌舞伎・剣劇などから刀が主役です。

 武士たちのビジネスツールは弓矢から槍(戦国時代)に代わり、
 そして刀になりますが、その頃は天下太平徳川時代

 異種格闘技として、「刀」対「槍」の勝負なら3対7で「槍」が断然有利だそうです。
 司馬さんの何かで読んだな。だから宮本武蔵は凄いわけだ。

 槍持ち中間の主人公が七人の侍を槍で倒せるのもここに納得のリアリティーがあるのでしょう。
 最後の侍は、ケツを刺されて絶命! 痛そう(涙)

 制作は1955年。私が生まれる4年前です。

 映画には「身分差別」というテーマが在ったようですが、
 それよりも人情話っていうほうが強い。脇役に月形龍之介あり。加東大介もいたな。

 ただ、身分差別云々とはいっても、この主人と従者(主人公)の間には愛がある。

 論語で云う、「愛」は主従の関係の愛だそうですが、
 その意味で、この映画のテーマ性はいまひとつ遠くなってしまいます。

 酒乱とはいえ、素面ではとても優しいこの御主人と
 付き従う二人の従者(片岡と加東)の姿にはほのぼのさせられます。

 まあ、それはさておき、片岡千恵蔵のやさしい台詞廻しと声には癒されますよ。

 私が最後に彼をスクリーンで観たのは、たしか『日本の首領・完結編』でしたかね。
 佐分利信山口組三代目)と三船敏郎(稲川会会長)に対して、
 右翼の首領・児玉誉士夫役を演じていたはずです。

 松竹、東宝を代表した大物俳優を向こうにまわし、
 片岡千恵蔵という東映を代表した俳優が第三の首領を演じたのが印象深かったです。


 私的にはジョン・ウエインとダブルのですがね(笑)、その話はまた次回。