みゆき嬢のララバイ第二章(3)二隻の舟−(2)
おまえとわたしは たとえば二隻の舟
暗い海を渡ってゆく ひとつひとつの舟
互いの姿は波に隔てられても
同じ歌を歌いながらゆく 二隻の舟
私たちはそれぞれの舟です。
このネットの大海原で出逢った。
お互いの顔など知らない。声さえ聞いたことはない。
それでも、私たちは出逢った。
そして、信じ合う。
君の歌が聞こえるよ。僕の胸は軋んでいる。
僕の歌が聞こえるだろうか。
姿は見えなくても
同じ歌を歌っていこう。
漆黒の闇を照らす 歌声が聞こえる。