手放しで喜べないものだったりもする。
お金の話(2)ボードレール
宝くじが当たったら?
以前、新橋の旧第一勧業銀行の金庫に保管されている
高額当選の宝くじの束を見たことがあります。
いるんだねえ、、、。当たった人。当たり前か、、、。
1842年。
ボードレールは父親の遺産を相続しました。
その額、7万5000フラン。
その時、彼は21歳でした。
そのほとんどを2年間で使い果たす。
「美的生活」のために・・・
準禁治産者となり以後一生謝金漬けの人生を送ります。
36歳のとき出版した『悪の華』が公序良俗に反するとして罰金刑。
それ以上に、売れなかった(涙)!
借金取りに追われて・・・
44歳の7月14日に友人にこう漏らします。
「ボクがものを書き出してから、一体どれだけの金を稼いだか知っているかい。
あらゆる評論、詩、翻訳を合わせて1万5892フラン60サンチームだよ」
その年の秋より、彼の病の発作は激しさをましていきます。
40歳頃から梅毒におかされていたようです。
失語症となり半身不随になりひんしゅくを買って
2年後の1867年8月31日。この世を去ります。
彼が世に認められるのは20世紀に入ってからでした。
その宝くじの担当者はこう言います。
「当選者の多くはそれまで何かしらの事情を持った人が多いようです。」
私の友人はこうもいいます。
「下手に分相応な金を持ったが故に人生を狂わす人って多い」
なるほど、どちらもうなずける。
さて、ボードレールの最初で最後の幸運は「分相応」のものだったのか。
それとも芸の肥やしか、切っ掛けか、それとも・・・