あかんたれブルース

継続はチカラかな

強さの証




わたしの大切な弟が悩んでいます。
歳の差がひとまわり以上あるので甥っ子のような感じかな。
わたしが寅さんだと前田吟の息子ってとこですかね(笑)。

具体的な話は聞いていませんが、なにやら挫折して、その失敗から反省して、
強くなることを誓っております。「闘う」ということを意識している。

通常ここで、訳知りの世間師的な大人風のものならば
「闘いなんて意味がない。受け入れなさい。その強さって何?」とか
諭すのでしょうが、わたしはそうは思わない。
それはあの優しいつ〜たんなんかも同じだよね。彼は闘いを意識している。

世の中、人生、どこかで闘いってものはあるものです。

最初から綺麗事でいかない。なぜなら相手があってのことですからね。
交通事故と同じで自分が安全運転してても向こうからツッコンで来る場合。これが多い。

そのために強さを抑止力として、昨日記事にした「天地否」になる場合が多いのでしょう。
これが、鎧を羽織る生き方です。
理論武装なんかもそうだし、毒舌のクールな物言いもそうだ。

常に闘う心構えはないといけない。
それなのに、最初からそれを否定しちゃうから話がややっこしくなる。
まあそれも正論なんだけれど、プロセスを飛び越えて結論があるので
消化不良になるのかしれません。

たとえばさ、坂本竜馬ってみんな好きじゃない。
自由で大らかなイメージが浸透しています。小説、マンガ、ドラマなどから。
それはそうです。
でもね、あれは、海音寺潮五郎のエッセイにあったと記憶しますが、
竜馬が乙女姉さんに出した沢山の書簡のなかに、
初対面の人間に対峙した場合、相手のすべてを見据えて、勝てると思えば
獰猛に呑み込んでしまう心意気です。といったニュアンスを伝えていました。
逆に、相手が自分以上の人物なら腰を低くしてネコをかぶると付け足していた。

まるで、『前略おふくろ様』の志賀勝の「リンカーンコンチネンタルですかあ」です。
   これはもとやくざだった板長の梅宮パパを昔馴染みのやくざが
   高級外車で乗りつけてヘッドハンティングをしに来たとき、
   志賀が相手を睨みつけて、いわゆるガンタレまして、「敵わない!」と一転
   豹変した歴史的なシーンのことです。レンタルビデオでどうぞ。

その好例が暗殺しに行った勝海舟に「敵わない!」と一転して
弟子入りした逸話が証明していますよね。
実際、竜馬は勝海舟との邂逅がなければ、歴史に名を刻まなかったと思う。

竜馬っていうのと、なんかいつも目が半開きでボーッとした感じで描かれますが
西郷さんと同じでそれはまた闘いというものを腹に入れていた人間でもある。

それと竜馬や桂小五郎などは剣の達人でしたが、その剣を使わなかった。
倒幕とは革命という「闘う」の場であり、彼らはそこで得意とする剣術を使わなかった。

まっ、そんなことは愛すべき甥っ子君は知っているんです。

ただ、彼はやさしい。繊細でナイーブだ。だから
健全なその魂が「闘う」という強談判をどこかで避けてきたかもしれません。
それを反省することもあって「闘い」と「強さ」を念じるのだとも思います。
けれども、そこには苦手意識がある。

喧嘩とかでね、苦手意識が先に立つと、闇雲に相手に立ち向かってしまうものです。
これって、不味いのだ。
その場で勝負なんかしなくていいのです。先送りってことじゃないですよ。
相手の隙や弱点をみつけて戦術戦略を練ることも大切だ。
喧嘩っていうのは相手の一番嫌がるところを突くところに勝機はあるものです。

また、強い人間なんてそうそういない。
だいたいはその立場(環境・条件)なので、相手より有利だと思い込んでいるのが
その強さの裏付けでしかありません。
そういった相手に勝つには「捨て身」しかないんだよね。
(死ぬ気で向かってくる奴が一番恐いんだ。
 すべて投げ捨てて。逆に守るものがあるとひ弱になってしまう)
そこまで腹を括れば必ず勝てる。勝つには勝てます。やる必要はありませんが(汗)
そういった腹を作ればそうそう恐いものではない。ということです。

人間はみんな弱いものですから、裏切りはすべてその弱さから出るものです。
それを抑えるための強さというのも大切ですが、
そこまで相手を追い込まないことも肝心かとも思います。

甥っ子君は闘い自体は不得意かもしれないけれど、
とても優しくて思いやり想像力がある。
それを最大の武器にすることだと思います。
彼はその強さというものが自分自身のメンタリティーにあることを知っている。
だからこそ、自分の弱さを相手に頼ろうとせずに、自分の優しさを強さと認め、
相手に負担をかけない不安を生み出さないスタンスが効果的だと思います。

こんなことを書くと何でもわかっていそうな感じですが、
実際はわたし自身が失敗だらけの連続で身に沁みた体で覚えただけの
ことでしかありません。

闘いを厭わない姿勢は大切です。
それを避けよう避けようとすれば苦手意識が生まれ違う結果になる場合も多い。
強くあるのは相手に対してではなく、自分自身に。ですかね。

大丈夫だよ、君は優しい。だから十分強いって。