あかんたれブルース

継続はチカラかな

「若い頃はちょっとワルだった」がタマラない明美の事情

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 さて、上の写真が伊地知を土左衛門にし損なった郷誠之助ですが、なかなか男前であります。
 郷が後に立派な事業家となったことは紹介しましたが、この伊地知殺害未遂事件の頃は
 相当な「ワル」でした。若気のなんとかでしょうが、明治三悪青春版とすれば
 一に山本権兵衛(後の首相)、二に中村天風(後のカウンセラー)、三が郷誠之助でしょうか。
 父は実直な高級官僚なのですが、誠之助は自分の出生の秘密を知り非行の道に奔りました。
 それでも彼には「のぶ子」というひとつ年下の彼女と相思相愛だったのですが、誠之助の非行が
 あまりにも非道いので「のぶ子」の叔父が他家への縁談を決めてしまいます。
 嗚呼、若いふたりを引き裂こうとする大人たちの打算。二人は駆け落ちを決意しますが、
 誠之助の良き理解者である義兄・温の説得で一度「のぶ子」を実家に帰してしまうのでした。
 ところが、この叔父は約束を破り「のぶ子」を九州へ嫁がせようとします。
 哀れ「のぶ子は」は誠之助に最後のお別れの手紙を出した後、服毒自殺してしまうのです。
 これが明治十六年のお話

 その後、東大法科に入学して件の留学航海なのですが誠之助の傷心はいまだ癒されてはいません。
 彼は留学先のドイツでも酒とバラと暴力に酔いしれ、放蕩のかぎりを尽くすのでした。
 さすがの父も見放して一億円近い手切れ金を渡して廃嫡処分とするのでした。が、
 その金を湯水のように敵のように散財させてしまうのです。
 いったい、こんな誠之助が近代日本を代表する実業家にどうやってなるのか?
 そりゃ、「のぶ子」の死別を契機にとなれば我々凡人の理解の範疇なんですが、
 そうは問屋が卸さないのがドラマの「赤いシリーズ」と一線を画すところなのでしょう。

 結局、唯一の理解者だった義兄・温の結核による死が郷を人変わりさせるのです。
 人間は大切なものを失って始めてそれを知り、自分を見つめ直す悲しい生き物なのです。
 でも、そうだとすると誠之助にとって「のぶ子」はそこまでの存在じゃなかった?

 それはさておき、若い頃、ギターを弾いたとか髪を伸ばしてたとか万引きしたとか
 はたまた暴走族町屋「極悪」として「スペクター」と抗争していたとか
 と言ってスナック「砂肝」の明美を口説こうとしても、結局現在とのギャップ乖離率が問題なので
 安易に若気の「イタリ」がイタリアのチョイ悪オヤジにはならないってことですかね。
 
 また、伊地知もガミガミばっかり言わないで、若い留学生たちを食堂にでも招いて
 「オマンタダ(君たちは)留学して何を学びどう国家に尽くそうと考えるのか」とか
 「彼の地で生活修学するならば、礼儀作法は気を使ったほうが宜しいぞ、我が輩も失敗シモシタ」
 と、留学経験を肴に酒でも振る舞って、青雲の若人の前途を祝してやればよかったのでしょうか。
 結局、規律とか重視する輩は「無能者の絶好の隠れ蓑」と陰口囁かれるのがオチですかね。

 で、ムスメならぬムスビは「器量が良いだけで幸せの半分を手に入れている」の
 「器量」とは容姿のことではなくて、心の器の許容範囲の良好を指していたと。
 なんか分かったような分からないような厳しい人生の提言で、いいのかなあ。
 それと明美の事情って