あかんたれブルース

継続はチカラかな

強くてやさしい古武士のような男

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つらつらと再々々々々・・・読していたら
文庫本『坂の上の雲』の第一巻は「軍艦」という短い章で終わっちゃった。
一章で一本の余談こぼれ話をと考えていたら、
次章ではもう「日清戦争」になってる(汗)。

少し、立ち止まり秋山兄について書き残しておきたいと思います。

貧乏で末っ子の真之を養えない両親はお寺に預けようと夜半相談していた。
それを聞きとめた好古少年は
「ボクが大人になったらお豆腐ほどのお金を稼ぐから
 お寺にやってはいけないよ〜」といってとめた話は有名です(涙)。

好古はその約束を守ります。

無骨で無頓着、無愛想な古武士のような変人の秋山好古ですが、
とてもやさしい。

とってもやさしい! のだ(号泣)。

部下にも優しい。その話はまた機会をあらためるとして、

余談だが、
秋山家には合計五人の男兄弟があった。
真之すぐ上の兄(7歳年長)は西原家に養子に出されて横浜で貿易商を営んでいた。
坂の上の雲』では真之にちりめんの兵児帯を買って与える
エピソードで登場している。
名前を、道一日露戦争開戦の前年に他界した。

もう一人、俊才といわれた長兄がいた。名を則久という。
(なんか司馬さんになった気分で書いています(笑))

則久は上京して脳を病んだ。

秋山家は好古が継ぎ、この兄の面倒もみた。

則久は人を怖れ、接することを嫌った。入浴や散髪も嫌った。

入浴はお熊という家政婦さんがなだめすかして入れたが、
散髪は好古が連れていっていた。
炒り豆を買って一緒に頬張りながら順番を待っていたそうである。
ほのぼのしているねえ(涙)

ある日、床屋が出張散髪に来た。それに驚いた則久は逃げだし、
暗くなっても帰って来ない。騒動になった。

遂に警察に捜索願いを出すと、夜半過ぎに保護したと連絡が入る。

好古は人力車で迎えにいくと、帽子も履き物も則久に与え、本人は裸足で帰ってきたという。

日頃の好古の食膳の前に則久が近づいては美味しそうなものを見つけると
かまわずつまみ食いすることもあったという。
風呂嫌いで爪は黒くのびた手である。
そんなとき、好古は「どうかな」と言い好きにさせていたという。

則久は六十一歳で亡くなったが、
好古はこの則久の面倒を最後までみた。


どうでしょう。
秋山好古って、素敵だと思わない?
強くて優しい。

男は、こうなくっちゃね。




坂の上の雲』文庫第一巻第八章「軍艦」
秋山好古万歳!