あかんたれブルース

継続はチカラかな

やさしい男



可哀想な女がおりやした。

左官屋の女房なんですけどね。

この亭主が酒ばっかりかっ喰らって、挙げ句の果ては
行方をくらましちまった。

借金のカタに上の娘を品川遊郭に女郎出してしまった。
女は乳飲み子を抱えて下女奉公にでますが、
疲れちゃいましてね。

赤坂の溜め池に赤ん坊を投げ込もうとした。。。
すんでんのところで、やっと思いとどまったところです。

浮き世の風が身にしみる。そんな暗がりのかでポッと灯りがさしている。
なんとはなしにその灯りに引き寄せられたると大道占い師じゃありませんか。

ねえさんどうしたね。
暗い顔をしとるな、まあここに座りなさい。

と、やさしく声をかけられた。

なになに、丙の午に五黄の蠍座の女、血液型はAB型!こりゃ酷い(汗)


女は、ぽつりぽつりと身の上話を語ります。

占い師は、
女の話に聞き入って、すっかり同情してしまいました。

今夜はうちにおいでなさい。そうしなさい。

そのまま夫婦になります。

この占い師、馬太郎。じゃなかった(汗)。
星泰順と申します。

一家となって浦賀鍼灸やら占いやらして極貧の生活をしますが
横浜に移って医者を開業する。
当時の医者なんてものは漢方医学ですから今とは違うんです。

星泰順はやさしい男でした。
二人の姉も引き取って、
蒸発してひっくりかえっていた前の亭主も引き取って面倒をみたんです。


えっ? 女がとってもイイ女だったんだろうって?

冗談じゃねえ。
これが女の写真です。
http://blogs.yahoo.co.jp/djkxq447/49774571.html
といっても女の写真がないので倅の写真にすこし細工したんですがね。
ええ、あのときの赤ん坊です。

星亨。「とおる」と読みます

長じて「おしとおる」と嫌われた日本の弁護士第一号。
傲岸不遜を絵に描いたような政治家でやんす。

はい、陸奥宗光の一の子分で、げす。




陸奥宗光(5)星亨