あかんたれブルース

継続はチカラかな

陰謀という名の陰謀



いわゆる、トンデモ本というジャンルがあります。
史実の綻びや毛玉を拾い集めて、
とんでもない飛躍、そして「陰謀」に仕立ててしまうのです(汗)。

過去の歴史に対して、私たちは結果を知っているので
一本の線で結ばれているような錯覚に陥る。
当事者は必死なのでしょうが、私たちは俯瞰して見ていますからね。
「後講釈」になってしまいます。
最近のものだと山本五十六フリーメイソンだった!
真珠湾攻撃は仕組まれた罠だった! とか・・・


日本にキリストの墓があった! モーゼや釈迦の墓もある! ピラミッドもある!
日本人はユダヤ人だった! 平家はイスラム人で漁師! 

竹内文書 宮下文書 東日流三郡誌・・・
なんていうのは夕刊紙でも東京スポーツの類で楽しめるのですが
近頃の巷の陰謀説は少し暴走気味です。

明治天皇すり替え説を説く一人
太田竜氏はもともと左翼活動家。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%AA%E7%94%B0%E7%AB%9C
左翼革命活動に挫折したのかどうなのか、
ある時期からエコロジストとなり、トンデモ本を連発しだした。
それが昭和50年代。わたしもよく読んでいた(汗)。
人間、一個人の姿勢を他人がとやかく括ってしまうことはできないのですが。

一昨年、もう少し前かな
久々に「太田龍」を目にしました。『長州の天皇征伐』
長州藩は幕末、攘夷を敢然と主張する孝明天皇を暗殺、
神国日本をユダヤイルミナティ悪魔主義世界権力にそっくりまるごと売り渡し、日本民族を滅亡に狩り立てた。
さらには長州出身・大室寅之祐明治天皇としてスリ替え、明治新体制を築き上げた。
日本史上これ以上の国賊売国奴集団は、まさにこの時期の長州藩以外にまったく存在しない。
本書はその厳粛な事実を論証し、天下にその罪を告発せんとするものである。

なのだそうです。
岩倉の一味によって強行された、孝明天皇父子弑逆事件とその徹底的な隠蔽。
明治維新から誕生した大日本帝国は、それらの大謀略を経て築かれた偽政体。
現在まで続く、西洋かぶれ売国奴政治屋の悪辣悪行と家畜・羊の群れに堕ちた
現代日本人に強い覚醒を促す書。

なのだそうな。
「西洋かぶれ売国奴
なんか、攘夷思想のような感じですね。
太田竜は昨年5月に死去されている。享年78歳。
天皇史破壊」
最後まで革命家でいたかったのでしょうね。

ただ、
ユダヤ人の陰謀、フリーメイソンの陰謀、朝鮮系日本人の陰謀・・・

となると、洒落にならない。

ゴーマニズムの小林よしのりなどが頑張って
戦後歴史教育自虐史観の否を訴えてくれた努力はいいとして、
振り子の論理で大きく一人歩きしかねない現象に心配するのは老婆心かな?

そりゃ、白黒ハッキリして面白けりゃいいのでしょうが、なんかね。

スルーしてしまえばいいのだろうけれど
かといって、全部を否定して無視するのも如何なものか。難しい。

先日、中公新書の『歴代陸軍大将全覧』を読んでいたら
児玉源太郎の相撲観戦のエピソードが紹介されていました、
これは、杉山茂丸の『児玉大将伝』のなかにあります。

すると、半藤一利氏は
「ホラ丸だから危ない話ですよ」

半藤一利でさえも、杉山はホラ丸なんだなあ・・・


堀川辰吉郎を考察するなかで
杉山茂丸のことや孫文の革命に協力した日本人のこと。
南朝正統説の古史古伝、明治の新興宗教神道)などを
チェックしていく必要があるようです。



分類は「若宮」
明治男前烈伝(10)堀川辰吉郎(11)番外-3