あかんたれブルース

継続はチカラかな

停止した記憶と加速する時間と現実

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 拉致問題
 横田めぐみさん本人や御両親への同情はやみません。
 子供を持つ親の気持ちとして堪らないものがあります。
 それでも世論が動いて少しは進展もみられてきたでしょうか。
 国益で動く国家も世論は無視できないことは事実です。
 日露戦争アメリカの世論を動かすことで戦いを終え、勝利を拾いました。
 問題解決に最も効果があるのが「世論の高まり」です。

 私は拉致被害者のリストにある某海岸で拉致されたカップルと
 同じ時間に同じ場所でキャンプしていました。
 二泊三日のキャンプから帰って来たら
 北朝鮮の拉致があったと結構な騒ぎになっていました。
 その頃から「北朝鮮と拉致」は認知されていたのですね。
 そこは砂を使った造形物のコンテストが開催される美しい砂浜の海岸でした。

 あれから30年
 ここ数年、全国の被害現場の地図がニュースで映し出されるだびに胸が痛みます。
 もしかすると自分が被害者であった可能性も高かったと気が遠くなります。
 拉致は日本だけではなく韓国や東南アジアでもたくさんの被害がある事も知りました。

 私の友達の劉さんは中国福建省出身の在日中国人です。
 「馬太郎さん、日本食よくないね。太るよ、コレステロールたまる。糖尿病なるよ」
 そんなぁ、中華料理のほうがよっぽど油っぽいでしょに。と問いただすと
 「中国人貧しい、普通の食事はもっと貧しい、だからみんな健康」と笑います。

 劉さんの村では海を眺めて祈りを捧げるそうです。
 「どうか今度は私が拉致されますように」と
 先週はとなりの村で「拉致」があったと、みんな羨ましがっているそうです。
 ここ福建省では毎年何人かがお隣台湾・中華民国に「拉致」されるそうです。
 台湾では人手不足からこの地に安い労働力確保を目的に「拉致」にくるそうです。
 年期があければ一財産稼いで帰国できるのでみんな「拉致」を心待ちにしているのだそうです。

 高い旅費を使って上海までいく手続きも法外なバックマージンを支払って
 確実に行けるかどうかも判らない、下手したら成田でUターンなんてこともない
 確実な労働の報酬が受けられる。この「拉致」をみんな待っているそうです。
 旅費もタダ。
 劉さん、それは「拉致」って言葉の意味が、ちょっと、違ってるんじゃないの
 と、言い出せない私でした。

 幸せのカタチは時代と環境と国家によって変わるのでしょうか。
 劉さんはゴールデンウィーク明けの12日から中国に帰っています。
 ひとり娘をお姉さんに預けるためだそうです。
 日本では経済的に養育と教育が難しいと話していました。
 レストラン経営に失敗した彼はコツコツと借金を返済しています。
 三歳といえば可愛い盛りなのに
 それでも笑顔を絶やさない劉さん、あなたが眩しい。