ルイちゃん
君を東京駅まで送っていった
午後6時の新幹線
俺はポケットから白いハンカチを取りだして
ゆらゆら、ひらひら、したさ
君は車窓の中から恥ずかしいそうに他人のふりをしたけれど
俺は怯むものか。
ベニスに死すのダーク・ボガードのように
ちょっとキザだけどさ
君をさうやって見送りたかったのだ。
来てくれて有り難う。
紹介したかったんだ。
おバカ野郎どもを
その場に招待したかったんだ。証言者として。
なかなか良い連中だっただろう。
俺の誇りなんだ。
動き出した新幹線は西へ走っている
君を映す姿を宵闇の車窓を俺は想像してみるのさ
ふっとね、名古屋あたりで
君が想い出したように
微笑む
それだけで、彼奴らは
幸せだと思うよ。
それだけで幸せ