あかんたれブルース

継続はチカラかな

白い長靴を履いた猫



関西の友人からイカナゴの話をよく聞きます。
イカ、ナゴ? まずイカを、そしてイナゴを連想する。
佃煮にして御飯のおかずにすると旨い旨い、だそうです。

なんだ縮緬ジャコみたいなものか。
関東では「コウナゴ(小女子)」とかいいます。
渋谷の初代「魚虎」でよく注文したものです。

そのイカナゴの佃煮を今年に入って初めて食べました。
母親の神戸の友達が毎年送ってくるそうで、それをわたしに送ってきた。
つまり、神戸→鹿児島経由で東京にやってきたイカナゴ君。
で、「いかなごの釘煮」とやらを食して、うん旨い。
生姜が利いていて、暖かい御飯に合いますね、これは! 飯が進む。

そんな話をしたら、ガ然ルイちゃんが、ウチもはやく作らないと、という。
でも彼女は超貧乏なので、買えない。
まだイカナゴが高いのだと嘆いておった。
それが先月の始めで、中頃にようやく安くなって買って作ったようです。
旬としてはギリギリなのかな。

ところが、先月の末にもまだイカナゴが店頭に並んでいるだとか。
白い長靴を履いたパートのおばちゃんは
そんなイカナゴを並べながら心を痛めておったとさ。

旬を過ぎるとイカナゴは成長してカマスゴになってしまいます。
そんなめざしみたいなのが三匹、四匹・・・
カマスゴは商品にならないので寄り分けて捨てるのがスーパーの掟。
それがどうにも不憫でならない。

ルイちゃんはいつもこれでチーフと揉める。
マニュアル通りにやらないルイちゃんをチーフは面倒な奴だと嫌い。
マニュアル通りに勿体ないことを平気でするチーフのことが
ルイちゃんは大嫌い。
これで二人の仲は険悪でたぶん今月彼女は辞めるとさ。

それはさておき、
この捨てられるカマスゴが気になって気になって仕方ないルイちゃんは
思わず、
「チーフこれ私買います。グラム88円でどうでっしゃろ」
とやった。

チーフはまたかいなあ。と嫌な顔をして、勝手にしろと無視です、無視。

「けっけっけ、35円でゲットしたで」

そんな五匹、六匹の雑魚を持って帰宅したルイちゃんは
台所に立って考える。
さて、どう料理したものか・・・思案橋ブルース。

結局、湯がいてお酢で食べたそうな。

「で、どうだったの」

「美味しかったでえ!」

「あ、そう、それはよかった」


なんというか、なんてこともない話なのです。
セコイ話?
いんや、わたしはそうは思わない。
こんな話が好きなのです。
捨てられない、っていうのも問題はあるんですよ。
ゴミ屋敷とか。
でも、そういう話じゃなくてさ。
なんというか、勿体ない。
http://www.jodo.or.jp/knowledge/word/45.html
いまどきの子供らはなかなか感覚として理解できないみたいですね。
Kちゃんに教えるのも一苦労ですもの。

わたしがルイちゃんに頭があがらないのは
こんな人だからだと思う。