甘い浪花の露
そのすずめに、並木時雨と名前を付けました。
時雨と大阪の町を歩いていた。
どこだろう?
長い商店街・・・千林じゃないか。
梅田からそんなに離れていないのに
洋品店やら惣菜屋やらひと昔前の匂いがする。
途中のうどん屋で
きつねうどんとおはぎを注文した。
生憎おはぎがなくてあんころ餅になったけど
俺には違いがわからない。
時雨は嬉しそうにうどんのつゆを啜っていた。
店を出て、商店街の端っこのマーケットで
紅しょうがの天ぷらろゲソ天を買った。
そのとき、
あら、時雨ちゃん
不意に、後ろから声をかけられた
白い割烹着を着て買い物籠を下げた
大塚のボンカレーのような
婦人が立っていた。
おかあさん・・・
時雨が、つぶやいた。
おかあさん?
つづく
http://www.youtube.com/watch?v=8iYp39bAU6I&NR=1