あかんたれブルース

継続はチカラかな

紅次郎を探して

月夜の晩餐(3)


紅次郎という男を探しています。
愛は惜しみなく奪う。
その原点にある17年前の『ヌードの夜』を探している。
それがみつからない。

手がかりは石井隆という男だ。

その前年の1992年『死んでもいい』と
その翌年の1994年『夜がまた来る』を観ました。
本命の前に外堀内堀を固める作業のようです。

作品としての私的評価は74点と76点です。


『死んでもいい』
大竹しのぶが良かったです。とてもきれいだった。
はじめてじゃないかな
演技派女優の彼女をここまで美しく意識したのは

これは一種のホラー映画だ。愛の、ね。
懐かしい室田日出男が良き夫を演じていました。
いつ東映実録路線に豹変するか、ドキドキなのですが
これが不気味で恐い理由のひとつ
でも恐いのはヒロインだ。


『夜がまた来る』
未亡人の暴力団への復讐劇、その過程での転落劇です。
暴力団の描き方が東映Vシネマでした(汗)。
これとヒロインが美人すぎるのがリアリティーを損なう。
根津甚八に紅次郎の臭いを感じますが、
ラストでヒロインに殺されるオチで作品をより甘くした。


映画鑑賞としては、もう古い作品なので
評価はちょっと酷ですが、80点以上は与えられません。

石井隆という男は、女神を求めている。
それを「ミューズ」と表現されているようですが、
ここでは女神として、女神信仰と捉えてみたい。

この二つの作品のヒロインは共通して「悪女」です。

大竹しのぶは結果として若い愛人を翻弄して
夫を殺害させてしまう。夫にはなんら問題はないし、
大竹しのぶも夫を愛している。にもかかわらず・・・魔性か?

もうひとつのヒロインは
麻薬Gメンだった夫が汚名を着せられ殺害され、
本人も輪姦される。この不条理に復讐を決行しますが
リンチされ千葉に売られて薬物中毒から売春婦に堕ちる
名美(夏川結衣)。ここまでは一途な聖女といっても過言ではない。
がラストで常に助けてくれた村木(根津甚八)を
有無も言わさず一撃。
この名美と村木の物語は石井作品のなかに全11作あるそうです。
ひとつのライフワークなんですね。

究極の愛、純愛ってやつです。

そのすべての答えは、「死んでもいい」であり、
翻弄されたり、殺されていく男たちの気持ちはそこにある。
カマキリ婦人のような、女神・マリア伝説であり
彼らはその殉教者なわけだ。

そういうのをずっと追い続けている石井隆を尊敬します。
彼のなかに、愛に対するある種の確信があり、
その信念が、「証」を導き出そうとしている。
顔をちょっとみたら、つ~たんかと思った(汗)
こんなムサイ顔して、なんてロマンチストなんだろう(笑)
そういう作業のなかに
前記の作品や赤い教室シリーズがあるようです。
その延長線上に紅次郎がいるのでしょうね。

驚きです。


紅次郎を探しています。

千住の元青線だった場末の路地とか
赤坂の田町通りの客引き女の視界の先とか
歌舞伎町の喧騒の奥にいるような

代行屋紅次郎。


次郎さん
わたしにとって
あなたは聖者であって勇者だ。
敷かれた不文律の結界をあなたは越える。
そういうあなたを生み出した石井隆という人は恐ろしい人だ。

あなたの慟哭が脳裏に刻みついて離れない。

さて、どうやって『ヌードの夜』をゲットするか・・・
通販レンタルの会員になるか(汗)
それとも違う街のレンタル屋でみつけるか・・・
貸してくれるのかなあ?