あかんたれブルース

継続はチカラかな

「なごり雪」無残。ヘソ腫れる



大林宣彦の名につられ
なごり雪』を観てしまい、臍を噛む。

『転校生』『さびしんぼ』『ふたり』『青春デンデケデン』・・・
期待したのですが見事に裏切られた。

なごり雪」はフォークソング全盛の
といってもそれが反戦からニューミュージックに
切り替わる頃のかぐや姫のヒット曲です。
伊勢正三の『22歳の別れ』と共に
口ずさみ続けられるスタンダードナンバーだ。

映画のキーワードは50歳でした。
そして、28年前。

 汽車を待つ君の横で僕は時計を気にしてる
 季節はずれの雪が降ってる

この別れは
50-28=22 ということで22歳ということか。
22歳の別れにも引っ掛けているのでしょう。

かぐや姫の解散はわたしが中学3年ぐらいでした。
その頃の22歳って遥か遠く
22歳になるとそういった別れを経験する
大人になるのだと思った。

 東京でみる雪はこれで最後ねとさびしそうに君がつぶやく

東京。それには東京にいかないといけない。
大阪じゃだめなんだ。大阪じゃなごり雪は降らない。
汽車を待つ君の横で僕はイカ焼き食べていそうで
こ、わ、かあ、た~♪

「何時だっかあ?」
「7時58分だんなあ」
「ボチボチでんなあ」
「ほな、さいなら」

こんなの嫌だ!

映画の話でした(汗)
主人公(三浦友和)は妻に逃げられた朝
なにげに遺書を書いていた。そのとき
故郷九州大分の臼杵から電話が入る
懐かしい親友ベンガルからですが
友和の反応は鈍い。(ホントに親友だったのかあ?)
ベンガルの妻ガンジスが交通事故にあって危篤だという。
三人は28年前、太い絆でバンジーだった。
ベンガルは帰ってきてくれといいます。

要領を得ないうすらぽかんとした友和は
取り敢えず新幹線に乗って帰る。
シナリオの一節にある
西日本から九州にかけての緑の風景は赤い。
これはいえている。うなずいたのはここだけだった。
退屈な映画だった。
企画倒れだったんでしょうかね。
オリジナル脚本自体があかんかったと思う。
これじゃあ友和もベンガルも可哀想だと思うし
撮影協力した臼杵市民の方々も
わくわくして観た試写会で困惑したんじゃないだろうか。

50歳の主人公友和にまったくさっぱり感情移入できない。
たぶんうらぶれた中年男という設定なんだろうけれど
うすっぺらい中年男で、想像力もなく頭の回転も動作も鈍く
自分のことしか考えていない。だから思いやりもない。

キャラクター設定で主人公を
日本の大多数の中年男としたんだろうけれど、
(たぶん大林宣彦夫人が怪しい)
こんな人・・・いるだろうか?
まあ、いるだろうけれど、いたとして
女房に愛想つかされて逃げられのはわかるけれど
28年も続く親友を持ちえるか。はたまた
その妻が密かにずっと想っているような人間だろうか?

友和は変わった。東京に行って変わったのよ。
都会の絵の具で色あせて脱色してしまったの・・・

いんや、若い頃のエピソードが並行して描かれますが
それを観察するに
友和は若い頃から、ずっとそのままです。
ボッケーとしてて、自我がさだまらん。というか黒目が動かない。
瞳孔が開きっぱなし。
しかしなんで演出で標準語で通したんだろう?
ああ、これも万人向けなのね。
(たぶん大林宣彦夫人が怪しい)
でも誰も感情移入なんかしません。

最初から最後まで嘘っぽい映画で
虚構のなかで薄暗いライティングでムードを煽っていた。
実は途中でモニター消しちゃった。

一日経って、あの病院のベットで包帯グルグル巻きの
意識不明のヒロインがラストで
「ははは、なーんちゃって」と起きだす
大ドンデン返しがあるのではないかと再びスイッチオン。

それもなく、

最後はベンガル
意味不明の慟哭で終わりました。

非常によろしくない映画で、台詞に「なごり雪」の
歌詞が挿入されているのですがそれが不自然でたまらない。
「君にあの時伝えたかった
 『いま春がきて君は綺麗になった』」
には、絶叫したよ(怒)!
(たぶん大林宣彦夫人が怪しい)

どうしちゃったんだ大林宣彦
乱心だよ(涙)。

絶対に観ないほうがいいです。(こういうと観たくなるか)

で、最初と最後に伊勢正三なごり雪が歌われる
オープニングは正やんの動画入りで。
この歌がまた、みょうにシャクッて歌うので
ヤな感じ。
作詞作曲の作った本人が良いと思って歌っているのに
こっちとらが文句いう筋合いもないのですが
愛想がつきました。
うすっぺらいなごり雪だった。

歌が一人歩きしちゃって
伊勢正三を追い抜けてしまたんでしょうね。
作った当人がそれを背負えなかった
30年以上、なごり雪と22歳の別れの墓守じゃあ
つらいもんね。そりゃ酷だよね。

かぐや姫伊勢正三も、大林宣彦もグッパイです。
52歳の別れだ。
ここまでくると、なごり惜しくもなんともない。