あかんたれブルース

継続はチカラかな

ハンカチ物語



週末の二日間、
古市憲一氏主宰の「夢塾」のセミナーに参加してきました。

古市さんのことは以前も記事にしましたが
お茶の水女子大付属小学校副校長で
現職中にこの学校の入試制度を全廃させた方です。
退職後も生涯いち教師というスタンスで
日本の教育制度改革に情熱を傾ける熱血漢であります。

その魂胆は「日本の大学入試制度をなくす」ことにあり、
すべての問題はここにある。として
頑張っておられる豪の者だ。

旧文部省と一人で戦ってきたという「ゆきゆきて聖軍」かな。

先月、その招待状が届いたのですが
参加者はきっと教育関係者ばかりだろうかなあ
と二の足を踏む馬太郎。
そのスローガンには大いに賛同するのですが
なにせ大馬鹿者の馬太郎ですからねえ(涙)
なんか場違いな感じでしょ(汗)

それでも、わたしゃどうしても
行かなきゃならない事情があったのだ。

古市さんと最初にあったの昨年の九月頃でしたか
都内某所で馬太郎の講演会が催され
会場を埋め尽くす聴衆八名(!)のなかにいた古市氏が
わたしのアホな与太話に感動してくれた(涙)。

その後、手紙とファックスの交流が一回か二回。
その年の年末の会合で再会して
そのまま二人で抜け出して飲み屋にチェックイン。
といっても東京駅の近くのめし屋なんですが、そこで
熱く語りました。
そんとき、
なんか燃えちゃってさ、泣いちゃったのさ(恥)
なんで泣いたんだろう?
小股の切れ上がったいい女から身の上話を聞かされたわけじゃない。
自分でも不思議なんだけれど・・・感動したというか
感極まったんだな。
普段、そんなことないんだよ。
酒で乱れたりとかしない人なのだ。

そんとき、すっと
古市の爺さまがハンカチを貸してくれた。

ハンカチは持っていたけれど
それを借りてね・・・洟も噛んだ
ははは(汗)

茶色の無地のシルクのハンカチ

そのままポケットに仕舞って
丸の内の地下鉄の入り口で別れた。
久々に気持ちの良い酒でした。

あのハンカチを返さないといけない。
洗濯してアイロンかけて封筒に入れてある。
年が明けて春と夏に古市さんからの誘いがあったのに
わたしや眼を患っていたりして断ってしまっていた。
治ったわけじゃないけれど、まあまあ小康状態なので
今度は行こうと思ったわけだ。


会場は五反田の「ゆうぽうと」。
当然、学校関係者が多かったですが
なかには証券会社の重役さんとか元商社マンのおっちゃんとかも
参加してたりして、
そういうなかでも異色の馬太郎シレーっと座っていました。

ひそひそと声が聞こえる

「あの人誰?」

「ミュージシャン? ビジュアル系の・・・」

「役者でしょ。ほらソフトバンクのCMに出てる」

ジャニーズ事務所じゃない?」

「えっ?日本人なの?」


空耳かしらん?


とまあそんなわけで、おバカな発言はできるだけ控えて
真面目に日本の教育問題について取り組んできたのです。

大学入試全廃なんて聞くと
絵空事と思うかもしれませんが、
これがそうでもない。
現場の現役校長がそれに賛成している。
二日目には文部科学省の現役職員の方々も出席して
話に加わったほどです。

すごい。と思った。

批判したり騒いだりすることはできても
行動して実際に動かすことはなかなかできない。
それもこれもこの古市憲一という鉄人「教師」の
十五年におよぶ執念なんだな。

二日間のさまざまな講演とディスカッション
を通しての、馬太郎の感想は

すべての問題解決には
それぞれの提案が抱える「重石」にあると思った。
その重石が「受験」だ。と
しみじみ思ったですよ。

高校含めて、大学つまり、入試制度。これが重石の正体だ。
そのことに教育者でありながら
いちはやく気づき行動した古市氏の慧眼に脱帽でした。

こんな大胆な、そしてある意味でドラスティックな意見に
有識者が賛同したり、真面目に受け止めて考えている。
文科省の役人が、だよ。
グリグリの金融畑のオヤジがだよ。
海千山千の元商社マンがだぞ。
そして、現役県立高校の学校長たちがだ!

暴論なんかじゃないんだ。

日本人はまだまだ捨てたものじゃないぞ。

その講演のひとつに、岡山から参加した現職の小学校教諭の
現場の危機的な状態は悲壮感があった。
これじゃあみんな潰れてしまう。
ショッキングな内容で、現場にいない私達は悄然とさせられました。
生き馬の目を抜く世界の元商社マン証券マンの猛者達も例外じゃない
色めきたったわけだ。
その場にいたら、誰しも忸怩たる思いに駆られたと思う。
それもあって二日目に予定を変更して再度講演したのです。
そのことを文科省の職員に聞いて欲しかったのだ。
救いようのない絶望的な現実に私達は
なにがしかの救いを希望を求めた。

意外なことでしたが、その救いをあたえたのは
年配の大阪の県立高校の校長先生と大学教授でした。
教育者の先輩としてのアドバイス
これには感動したよ。マジで目頭が熱くなった。
文科省の職員も真摯にそれを受け止めたうえで
冷静な意見を述べたあと、その解決手段を具体的に
提示されていた。

世代や立場を超えて、真面目に向き合っている姿に
わたしは感動しました。


ホテルを後にしたのは夜九時をまわっていました。
やっぱり雨が降っていた。
傘持ってきてよかったな、とそれを差す。
大崎広小路あたりから池上線に沿って
五反田の駅に向かう道すがらふと、
ああいう人たちもいるんだなあ・・・
日本人って捨てたもんじゃないよ、やっぱ。

変わる。絶対に変われるさ。
なんか足取りにも元気がわいてくるぞ。



あっ、ハンカチ返すの忘れちゃった(汗)