あかんたれブルース

継続はチカラかな

詐欺師の恋

Jの殿・女心リターンズ


女心が突きつけれるムードの要求。

ムードがない。

これは、「下手」とか「ダメねえ」とか
「今日は疲れているのよ」もしくは「今日は疲れているの」
以前に、男心を困惑させてしまう。

益荒男たちはシャイなのでムードが苦手です。
それを克服するために芝居を演じようと試みはするものの
良識が邪魔をする。石田純一にはなれないんだ。

ムードがない。

物心ついて歯を磨けだの早く風呂入れだの早く寝ろだの勉強しろ・・・
いろいろ散々言われ続けて
大人になって一安心、と思いきや
ムードを要求されて
困ってしまっているのだ。

実は、そのムードというものが理解できていない。

照明とか音楽とかをまずそういうのを頭に浮かべてしまう。
ポール・モーリアとか間接照明とか
そしてイタコのように石田純一を憑依させて
歯の浮くような甘い台詞を赤面せずに、囁く。
じゅていむ、あいにじゅう、さんじゅう、ことしごじゅうさん
みたいな

耐えられるのか?

「どうしたの馬太郎様子が変だわ」
「ごめんちょっと困ったことになっちゃって」
「なにを思いつめているの」
「俺のハートのラブリー銀行が君への思いで溢れてる」
「まあ嬉しい」
「今日は満期日なんだ」
「なんで困る必要があるの?」
「この思いを誰かに伝えないと不幸になるという
 今日中に三人の人に愛の手紙を出さないと不幸になる」
「まあ幸福の手紙みたいね」
「誰に出すべきか考えていたんだ」
「イヤイヤッ、他の人に出しちゃいや」
「でもラブリー銀行は余剰ラブラブを許さない。
 はやく放出しないと気が狂ってしまうんだ」
「それって誰のせい」
「君のせいだ」
「まあなんて罪作りな、わたし」
「はやく出さないと、ボールペン貸して」
「だめよ、他のひとに出しちゃ」
「えっ、でも」
「さあ、馬太郎。私にすべて出して」
「いいのかい」
「早くきて切手はいらない」

こんな振込み詐欺のようなことを想像しただけで
シャイな自分はニヤニヤしてしまう。

しかし・・・どうも違う、なあ。

ココに来て、ようやくそれに気がついた。
男心が考えるムードと
女心が求めるムードとは、違うことに
気づきました。
ムードとは、言葉の愛撫だったのだ、と。
いや、言葉だけではないのだろうけれど
熱中とか集中とか狂気とか
満期で溢れたラブラブモードを一点集中させて浴びせる。
沈黙でもいい。テレバシーでもOK
そこに結界が生まれ音楽が流れ照明はピンク色
この世とあの世の狭間に導く。
天から石田純一が光臨する。
この結界こそが、ムードなんだ。
なるへそ。

遅かったのか、それとも間に合うのか・・・

さて、これから手紙を書きます。速達で
届いた方は同封した振込み用紙に記入して
指定の金融機関にお振込みください。

グッドラック