あかんたれブルース

継続はチカラかな

天使のストリップ劇場

銀が泣いている(4)


バラエティー番組で
あき竹城とタコ八郎の「関係」を知りました。
ということは、これまで知らなかったのだ。

タコ八郎についてはここでも何度か団鬼六先生の
自伝やエッセイに絡めて記事で紹介したことがあるけれど
あき竹城もタコ八郎を世話していたなんて・・・

その番組で二人の関係を男と女の友情と
あきは表現したけれど、
スタジオのゲスト(芸人)たちは
その話に感動しても話半分みたいな反応だった。

知らないといえば、
わたしはあき竹城のことをなにも知らなかった。
これまで、なぜこの人は頻繁にテレビに出てるのか
不思議でした。
若い頃はそれなりに美人だったんだろうけれど
大柄な東北弁のおばさん。ぐらいかな
コメディアンというには中途半端な、天然の
女子プロレスラー? とかみたいな

元ヌードダンサーだったんですね。

気のよい踊り子かあ


タコは元プロボクサー
でも幼い頃からサーカスに憧れていた。
日本チャンピオンになったけれど、引退。
パンチドランカーのせいか、それとも元々の地か
由利徹の弟子となりコメディアンに転進。

もう一人の師匠・団先生との出会いは
東北新社で外国テレビドラマの吹き替えオーディションに
言語障害のタコを審査員で翻訳を担当していた団さんが
その熱心さにほだされて怪獣の役で拾ったのが縁です。
団先生とタコの爆笑と涙のエピソードは
『蛇のみちは』かエッセー集のなかの『たこの思い出』で
泣けます。

アル中だったタコに団先生は大変苦労しました。

あき竹城もほおっておけなかったんですね。
でもさ、泊めてあげれば自分のベッドで寝小便するし
道を歩いていて目を離すとドテの雑草を食ってるし
「タコぉ、これは喰うもんでねえ」
そこから教えないといけない。まるで母親です。
生半可な愛情ではとうていつきあえない。


この世に何人か翼を有する人たちがいる。
あき竹城もそういう天使だったんだな。

タコ八郎も団鬼六先生も翼をもった天使だった。
彼らが全国を一座を組んでドサまわりをしていたわけだ。
谷ナオミなんかもいっしょに
団鬼六一座の変態SMプレーショーが
実は天使たちの全国興行だったなんて、
頭がくらくらしそう。


タコ八郎があき竹城に残した言葉

「迷惑かけてありがとう」

ごめんじゃないの。迷惑かけて、ありがとう。
そして、タコ八郎の墓標にはその言葉が刻まれていた。

タコ八郎は酒飲んで酔っ払って溺死した。
海に帰っていきました。

「あきぃ、迷惑かけてアリガトウ」

タコの墓の前であき竹城が号泣していた。
思わずわたしも、もらい泣き。

羨ましかった。


わたしの肩甲骨は軋みます。
そこに貼ってある小さな白い
ペパーミントの臭いの湿布がいつか翼になって
くれるでしょうか。

たぶん、それはない。