微睡みのゲオルギウス
母を見送って、羽田からモノレールで浜松町へ
そこから山手線に乗り換えた帰宅途中の
あれは御徒町あたりだったかケータイが鳴った。
うたた寝してたので相手を確認せずに取りました。
出た途端
「まみちゃ~ん」
聞き覚えのない中年女の甲高い声が飛び込んできた。
まみちゃん?
誰だそれ、誰だあんた?
「もしもし」
「まみちゃん?」
「違うみたいですね」
「あらぁ」
この『あらぁ』は間違い電話でまみちゃんとやらに
繋がらなかったことに対する失望の『あらぁ』で
『あらぁ』にごめんなさいの謝罪の気持ちはこれっぽちもない。
自己中心的な典型的な中年女のようです。
「わたしは馬ちゃん。残念でした」
といって、ケータイを切った。
たぶん、向こうもわたしと同時に切ったと思う。
なんとなく相手より先に切りたかったけれど
もしかしたら先方がすこし速かったかも。
「ごめんなさい」なんて言葉は
これっぽっちも期待していなかった。ホントだよ。
信じてくれ(汗)。
そして、翌日の午後1時半頃
昼飯を食べた後にリビングで横になってたら
いつのまにやら寝てしまった・・・と、
ケータイが鳴った。
「もしもし」
「馬ちゃ~ん」
だ、誰だあ・・・う・ん・・・これって
まさか昨日のあの間違い電話のあの女?
「ヤフーブログでラブベル馬太郎と名乗っている。
それ以前はチャーリー馬太郎だったわね。
53歳、になったばかり。
性別は非公開にしてあるけど、完璧に男性ね
ブログタイトルをころころ変えるから探すの苦労したわ」
「し、調べあげたんですか」
「退屈だったの」
「あんまりいい趣味じゃないなあ」
「明日、午後一で護国寺で打ち合わせがあるでしょう」
「なんでそんなことまで知ってるんだ」
「時間はとらせないからその前の11時30分に
JR西日暮里の3番線4番線のホームの
進行方向の一番後ろで落ち合いましょう」
「あんた誰なんだ!」
「それが知りたければ、必ず来ることね」
「ちょっと、」
電話が切れた。
なんなんだよいったい・・・