あかんたれブルース

継続はチカラかな

裏切りの甘納豆



環七内回りを梅島陸橋で右折して
日光街道を下れば
道路沿いに十勝の甘納豆という大きな看板が目に入る。

それが、かれこれ三十年も
気になって気になって仕方がなかったのだ。

先日、幸子と墓参りに行く途中
チェックインしたぜ。
以前、わたしが一度ここに入ってみたいと
つぶやいたのを幸子は憶えていたんだ。

やさしさとはすこし違う。
幸子が食いしん坊なだけなのさ。

左折して、その店舗の駐車場に車を止めた。

ああ、遂に念願の十勝甘納豆本舗にわたしは足を踏み入れる。

どんな甘納豆本舗かしら
期待は高まり胸は早鐘を鳴らす。

店内に入って・・・わたしは戸惑い、彷徨い
そして落胆した。

甘納豆がないじゃないか!

こんな子供騙しの和菓子や羊羹やどら焼きに用はない。
わたしが求めているのは
見たことも食ったこともない甘納豆、濡れ甘納豆・・・
七色の甘納豆、ギリシャの甘納豆、ペルシャの甘納豆、
清朝末期の甘納豆、ここは甘納豆本舗じゃないのか!
あの看板は、なんなんだ!

ようやくみつけたブースにこじんまりと
袋詰めの甘納豆が申し訳なさそうに

いらっしゃいませ。

せめて小さなシャベルで金時甘納豆を量り売りする
ような気の利いたアプローチがほしかった。

これじゃあ単なる和菓子屋じゃねえか。
しかも御贈答用の。
俺の三十年はどうなんだよ。

結局、
なんか釈然としないまま
ナボナみたいなのとアンミツと金時の甘納豆を買った。


こんなんだったら
六町の長崎バームクーヘンにすればよかったな。



(本日の名言)

夢なんか見ちゃいけないのよ。
錦糸町スナック「葛篭」の客・京香(推定42歳)