あかんたれブルース

継続はチカラかな

体罰といじめ



『弾丸を噛め』(1975年)という西部劇の
ジーン・ハックマンがカッコイイ。

まず、歯痛のメキシコ人を差別しない
意地悪をしないで庇った場面からシビレて、
街でラバをいじめる不良たちに
ジェームズ・コバーンと共に鉄拳制裁を
与えるところで、もうたまらない。

私達はアメリカ社会アメリカ人を
差別する国家、社会、民族人種と考えて
いますが、この映画から
アメリカ人もこの映画で描かれる
ジーン・ハックマンやコバーンをカッコイーと
感じるんだなあと当たり前のことですが
しみじみ思った。

「そういう差別やいじめが蔓延ってるからでしょう」

そうだよ。だからこそじゃないか。
なにもそれをどうこう問題視することはない。

アメリカ映画には黒人やユダヤ人差別を
テーマにしたものが多くあった。
それだけ深刻な社会問題だったわけです。
80年代からは「家族」が大きな社会問題で
それは現在も続いています。


日本の、日本人のいじめを
司馬遼太郎は「宿痾」といった。

宿痾とは?
前々からかかっていて、治らない病気。持病。

いじめのメカニズムはヘーゲル弁証法から
個人と共同体の対立矛盾にある。
だから万国共通といっていいものです。

たとえば、学校で起こるいじめは
共同体(の常識)の環境のなかで
「俺はこんなに我慢して合わせているのに」
という不満から生まれるものだ。
「なんであいつは」とか
あいつだったらいい」といったものです。
ストレス発散と排除排斥制裁ですね。
村八分(無視)もそれだ。

(ここで日本の村社会の歴史云々はカットして)
「環境」が大きな要因にあるようだ。

日本の歴史のなかで一番イジメや体罰
酷かったのは太平洋戦争時の軍隊です。

その原因の第一は劣悪な環境にある。
これに尽きるのです。

だからさ、今の日本社会にいじめが蔓延ってるのは
環境が悪いからだ。環境整備をしないと
いくら禁じてもダメなのです。

環境のなかからもう一点
その軍隊でいじめが横行した原因には
指揮官(将校)のレベル低下がある。

日露戦争の頃と比較して雲泥の差があったといいます。

軍隊を量産しすぎて消耗し補強しても
ちゃんとした人材が育つ時間がなかった。

これは指導者のレベル低下と同じで
レベルの低い指導者は「力」に依存する。
体罰は自分の無能を公表する行為なのだ。
恥しいことなのね。


さて、
ここまで言っておきながら、
でもわたしは体罰を完全否定しない。

体罰がない社会にするのが大目標であって
それには手順があります。
最初から一発解決のように
そのカードを切ってしまうと大変な反動が起きて
いじめも体罰も闇に隠れ潜み横行し
また、社会は混乱をきたし無責任な民衆は
再び体罰を求めるわけだ。
つい半年前まではそだった。
それほどに教育現場は荒廃していたわけじゃないか。

体罰を用いずにちゃんとした指導ができる先生は
残念ながら少ない。
まずは、そういう先生を増やすこと
そういう先生が育つ環境を整備することが
大事であり、
親がちゃんと家庭内教育をやることが
大事だと思います。

性急な解決策に飛びつくのは危険だ。